第30章 竜司の死を、絶対に無駄にはしない②
萎れた落ち葉のように、俺は床にへたり込んでいた。そのまま体が分解してしまいそうだった。
「私たちは涙を流すことはできませんが、悲しい気持ちは一緒です」
いつのまにか背後に立っていたガーピスが、泣きそうな顔で声をかけてきた。
俺はすぐには言葉を返せず、体を引きずるようにゆらゆらと腰を上げ、ガーピスに顔を向けた。
悲しい表情のガーピスの眼は、いまにも涙を零しそうだった。
「竜司さんは、いまも私の心の中にずっと生きています。私がこの世に存在するかぎり、それは変わることはありません」
言葉を返せない俺に、ガーピスは柔和な表情をして、穏やかな口調で語ってきた。
「私は彼の意思を引き継ぎ、人々を一人でも多く救っていきます」
今度は強い決意をにじませたような口調で、言葉を繋いできた。
「いま、人類はどれくらい生き残っているんだ?」
俺は悲しみから逃れたくて、ガーピスの話に合わせた。
「正確にはわかりませんが、おそらく1億もいないと思います」
今度は曇った顔で答えてきた。
「1億?」
あまりの衝撃に、思わず声を大きくして聞き返した。
80億余りもいた人類が、1億まで減った?
俺の頭は、真っ白になった。
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