第28章 3年前⑧

 そこに、竜司の沈んだ心を、消し飛ばす声が聞こえてきた。


「ガイガー軍がそこに向かっています。急いで戻ってください。彼らの狙いは宇宙船ではなく、あなたの命です。目障りな存在である、あなたを殺しに向かっています」

 ガーピスが強張ったような声が、全身に走った。


「竜司さん、急いで帰還してください!」

 ガーピスがさらに強い口調で促してきた。


 ガーピスは宇宙に出てまで見送ることは危険だと、強く反対していた。竜司はその反対を押し切って見送りにきていた。どうしても、そうせずにはいられなかったからだ。


 やはり彼の予想通りだった。ガイガー軍が襲ってくる。続いて送られてきた画像に映るガイガー軍の数に驚いた。その数は500機を超えている。こちらの10倍以上だ。


「こちらの全軍を救援に向かわせています。さあ、急いで!」

 いつも冷静なガーピスが初めて、強張った顔で訴えてきた。


「わかった、急いで帰還する」

 返答すると、竜司の乗った機は、本部を目指して一直線に急降下した。

 だが、ガーピス軍が逃げ道を塞ぐように、待ち受けていた。


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