第28章 3年前⑨

 竜司たちの行く手には、ガイガーの戦闘機が視界いっぱいに広がっていた。


「まずいな。全機、戦闘に備えろ」

 護衛機の隊長が命令した。


 スズメバチの大群のように、ガイガー軍が一斉に攻撃してきた。無音の宇宙をかき乱す激しい空中戦が始まった。さすがは選りすぐりの護衛機たちだった。次々とガイガー機を撃墜した。だが相手の数が多すぎた。


「竜司さん、今のうちに逃げてください。ユーリー、竜司さんを頼む」

 隊長のマーカスが、竜司を乗せている機のパイロットに指示した。


「了解、まかせてください」

 ユーリーが声を返すと機を反転させ、戦場を離れようとした。


 だが見つけた獲物を、ガイガー軍が逃がすはずもなかった。反転した方向にも戦闘機の群れが現れて、一斉に発砲してきた。ユーリーは集中砲火のような攻撃の嵐を、どうにかかわし、追っ手を振り切った。


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