第25章 救出⑤
池の前に進むと入水自殺の準備を、いやゲバラは携帯の酸素マスクと水中メガネを取り出した。
「これを口につけろ。30分は持つ」
ジュンとマリアは、受け取ったマスクとメガネをすぐに装着した。
「いいか、潜るぞ。ついてこい」
ゲバラは指示すると、波音を立てないようにして水中に潜っていった。
マリアがその後に続き、最後にジュンが潜った。池の底には何かが沈没? いやゲバラが隠していた円盤が、主が戻ってくるのを待っている。3人は円盤の底部のハッチから中に入った。
「乾かす暇はない、座席に座れ」
二人に指示して先に操縦席に座ったゲバラは、すぐさまレーダーを確認した。
「奴らやっぱり、追ってきた。もう少し逃げるのが遅れていたら、見つかって攻撃されていた」
ゲバラはレーダーに映る赤い点に照準を合わせると、ボタンを押した。
超小型ミサイルが水中を切り裂き、水面を飛び出していった。それからしばらくするとレーダーから赤い点が消えた。追ってきたロボットたちが、ミサイルで破壊されたのだ。点が消えたのを確認したゲバラは操縦桿を握った。円盤は池の上にゆっくりと上がると、一気に加速して低空飛行を開始した。
「ジュン、マリア、酸素マスクを被れ」
ゲバラは2人に指示すると、円盤を急上昇させた。
円盤はあっという間に高度5キロに達し、10キロ、20キロも超えた。このまま飛び続けたら、大気圏も飛び出して宇宙に到達しそうだ。高度は50キロに到達した。成層圏と中間圏の境目、いわゆる成層圏界面だ。宇宙と定義されている100キロの半分の高度だが、外の景色はまるで宇宙にいるかのようだ。オーロラも間近に見える。
ジュンとマリアはオーロラを初めて見たようで、窓から食い入るように見ていた。
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