第8章 避難民④

 ドカーン! ドドーン! ズドーン! という激しい破壊音と爆風が俺の鼓膜を叩き、全身を強く震わせた。攻撃は一方的なものだった。人間の反撃はなかった。


 俺はその攻撃を眼にしていて、イスラエル軍がガザ地区の住民たちを無差別に虐殺している光景を連想した。


 夏の日差しが肌を指す日だった。パレスチナ人が押し込まれているガザ地区を取材したときだった。日本でいえば、たしか小学3年生ぐらいの少女だった。その少女の体が俺の目の前でイスラエルの攻撃に遭い、無残に吹き飛ばされたのを思い出した。その少女は、幼い妹がお守りのように持っていた、ぬいぐるみの人形を代わりに家に取りに行こうとして、犠牲になったのだ。


 ガンが進行し、難民支援を続けられなくなった俺が棺桶で、いやカプセルで眠りにつく年もそうだった。ガザ地区はイスラエル政府に封鎖されたままだった。


 あれからパレスチナの人々は、どんな運命を辿ったのだろうか? 


「みんな! 避難しろ!」

 リーダーの石田の叫ぶ声を背にしながら、壕に我先にと避難した。そして壕に入ると、全員が石のように固まった。俺も直ぐに真似をした。大谷からその理由を聞いていたからだ。


 やつらは、ロボットたちは間に遮るものがあっても、体から発する熱量や、動きも感知して襲ってくる。

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