第8章 避難民③

「俺を助けたことが規律違反なら、その罰は俺が受ける」

 話の流れからして、何が理由なのかをすぐに理解した俺は、即座に口を挟んだ。


「いや理由はどうであれ、大谷はここを危険にさらそうとした。あんたは口を挟まないでくれ」

 男は俺の声を遮るように厳しい口調で言い返すと、真横に並んで立っている二人の男に顎で指示した。


 指示を受けた2人が、大谷を挟むように腕を掴み連行しようとした。と、そのときだった。鼓膜を破りそうな凄まじい爆発音が聞こえてきた。大地を激しく揺るがし、鼓膜と心臓を震わせる爆発音は途切れることなく激しさを増した。ドドーン! という爆発音と衝撃波が俺の体を揺さぶり続けた。

 

「石田さん! A避難壕が!」

 小高い岩場で、見張り役をしていた若い男が叫んで指さした。


 その指差した方角に眼をやると、ここから2キロほど離れた先の岩山だった。山の斜面から爆発で吹き飛ばされた岩石とともに、キノコ雲のような黒煙と赤い炎が次々と上空に上がっていた。その上空には、例の数十体の飛行ロボットがいた。ロボットたちは赤い炎と黒煙を激しく噴き上げている箇所に、波状攻撃を仕掛け続けていた。その凄まじい攻撃は、山体そのものも破壊してしまいそうだ。


 爆発音に混じって、悲鳴のような声も聞こえたような気がした。人が焼かれ死んでいくような断末魔の声だ。

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