第8章 避難民③
「俺を助けたことが規律違反なら、その罰は俺が受ける」
話の流れからして、何が理由なのかをすぐに理解した俺は、即座に口を挟んだ。
「いや理由はどうであれ、大谷はここを危険にさらそうとした。あんたは口を挟まないでくれ」
男は俺の声を遮るように厳しい口調で言い返すと、真横に並んで立っている二人の男に顎で指示した。
指示を受けた2人が、大谷を挟むように腕を掴み連行しようとした。と、そのときだった。鼓膜を破りそうな凄まじい爆発音が聞こえてきた。大地を激しく揺るがし、鼓膜と心臓を震わせる爆発音は途切れることなく激しさを増した。ドドーン! という爆発音と衝撃波が俺の体を揺さぶり続けた。
「石田さん! A避難壕が!」
小高い岩場で、見張り役をしていた若い男が叫んで指さした。
その指差した方角に眼をやると、ここから2キロほど離れた先の岩山だった。山の斜面から爆発で吹き飛ばされた岩石とともに、キノコ雲のような黒煙と赤い炎が次々と上空に上がっていた。その上空には、例の数十体の飛行ロボットがいた。ロボットたちは赤い炎と黒煙を激しく噴き上げている箇所に、波状攻撃を仕掛け続けていた。その凄まじい攻撃は、山体そのものも破壊してしまいそうだ。
爆発音に混じって、悲鳴のような声も聞こえたような気がした。人が焼かれ死んでいくような断末魔の声だ。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます