第7章 人類の文明滅亡②

 俺は、大谷の話を聞いていくうちに、腸が煮えくり返っていた。世界の強欲な連中のせいで、80億余の人々が犠牲になってしまった。


 ささやかな幸せを求め、暮らしていた人々の人生を、かけがいのない命を、無惨に奪い去った権力の亡者、強欲な資本家、科学者たちへの激しい怒りが、全身に沸騰していた。


 人工知能が生物学的限界を超えたら、どういうことが起きるのか、こうなることは十分に予想できたはずだ。AIが進化し続けたら世界はどうなってしまうのか? AIが人間の能力を超える限界点、いわゆるシンギュラリティ(技術的特異点)を超えてしまったら、未来はバラ色の世界だけではない。


 人間の社会を滅ぼしてしまった強欲な連中を、この手で一人残らず制裁粉砕したい思いだった。説明していた大谷も、荒げた強い口調や表情からして、きっと同じ思いを抱いているのだろう。眼の色にも、強い怒りも混ざっているようだった。

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