第3章 AIの家畜
すると、周りの構造物とは不似合いな倉庫のような四角い建物から、10数人の成人と思われる男たちがぞろぞろと出てきた。その光景を眼にして、少し安堵した。だが、その人たちからは生気が伝わってこない。全員が工場作業員のような衣服を身に着けているが、その動く姿は、まるで通夜に参列している人たちのようにひどく暗い姿をしていた。ここからでは表情までは伺い知れないが、どうも様子がおかしい。まるで囚人か、奴隷のようにも見える。
「あの人たちは?」
刑務所の監視員のように、背後にぴたりと立っている女に訊ねた。
「あの人たちは芝刈りや草木の手入れをしている人たちです」
横に並ぶと、女が淀みなく答えてきた。
「他には人を見かけませんが、それに道路もないようですけど、ここはいったいどういう都市なのですか?」
草刈り作業を始めている人たちに眼をやった後、女に顔を向けて訊き返した。
「この第7区にいるのは、あそこにいる人間たちだけです」
まるで飼い主が奴隷に眼をやる、見下すような眼をして、また機械的な感情のない声で答えてきた。
「人間たち? あんたも、あの人たちと同じ人間じゃないのか?」
女の見下すような、もの言い草に思わず強い声で訊き返した。
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