第2章 新しい世界⑥
街中を歩いている人がいないか、頭と眼玉を左右に動かした。ひどい老眼ではあるが、視力は1.2だ。近くはぼやけるが、遠くはよく見える。視線が届く先をつぶさに探してみた。だが、1人もいない。奇妙なことに人影さえも見かけなかった。いや人間だけではない。移動に使う車両も1台も見当たらない。動いてるのは時折、空やビルの間を飛んでいる鳥たちだけだ。
これだけ建物が並んでいるに、人ひとりもいないとは、いったいどういうことなのだ? まるで、ゴーストタウンのようだ。
(いったい、ここは?)
また、胸中に声を落とした。
奇抜な構造物群と違い、緑や遠景は確かに地球の風景なのだが、本当に他の惑星にいるような思いに駆られた。
自分が知っている街とはまったく違う光景を目の当たりにして、体内に燻っている嫌な予感がますます増してきた。
高まる不安を覚えながら、顔と眼を動かし続けた。
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