第10話

水族館デートが終わって暫く経ち気付けば1年が終わって2016年になっていた。


2016年5月9日に20歳になった俺は大人になったような気がしていた。と言っても身体も心も19歳までと何も変わらず、ただなんとなく俺も大人になったんだなと思っていた。俺の誕生日には瑠輝がケーキを作ってくれて、那月と千春も一緒にパーティをしてくれた

3日後に1年記念日を迎える那月と千春を冷やかしながら夜中まで騒いだ



そして俺と瑠輝の1年記念日が4日後に控えた2016年6月1日



高校を卒業してすぐに免許を取っていた俺は瑠輝を後ろに乗せてバイクで目的地に向かっていた。

今日は少し離れた場所にある遊園地で沢山遊んだ後は、俺達が出会ったカラオケに行って、時間があればプリクラを撮って、温泉に行く予定だった。


温泉の後はホテルで瑠輝と…なんて想像しながらバイクを走らせていた。


6月という事もあって道路はすいていた。瑠輝にかっこよく見られたくて俺はどんどんスピードをあげる。慣れない道だけど恐怖なんてなかった。身体に感じる風が心地いい。俺の身体にしがみつく瑠輝の温もりを感じる。


それは一瞬の事だった。かなりのスピードを出していた俺の前に突然現れた1匹の野良猫。それを避けようと急ハンドルを切った。目の前に迫る電柱。


大きな音と共に身体に感じる衝撃と激痛。突然の事で何が起こったのかわからなかった。

身体を動かそうと力を入れると身体中に激痛が走る。

呻き声をあげながら、ふと隣を見ると頭から血を流した瑠輝が倒れていた。


"瑠輝、大丈夫か?"

そう問いかけても声が出ない。口が動かない。


俺の意識はそこで途絶えた。

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それでもずっとキミが好き ニホンカワウソ @kawauso_love

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