正義中毒 【勝者が正義の世界】

 やあ!僕はタコヤキング。

お腹を空かせて困ってる人が居ないか今日もパトロール中さ!


 ……おや?


「うえぇん、うえぇええん」

ネコのネネコが泣いているぞ!

きっと、お腹を空かせてるんだね?


『もう大丈夫だ!さあ!僕の顔をお食べ!出来たてアツアツだよ!』


「えっ?! 違ッ! 私はッ!」


『ほらほら!遠慮しないで!そらっ!』


「私、猫舌ッ! きゃぁあああ!」


 おやおや、あまりの美味しさに白目を剥いちゃったね! 大丈夫!僕は正義の味方、タコヤキング!! お礼なんていらないよ!


…おや?

神に願っているのは犬のワンタくんだね?

これは…お腹を空かせて困ってるに違いない!!


「わたしたちに必要な糧を毎日与えてください。わたしたちの罪を赦してください……」


『やあ!ワンタくん!やっぱりお腹を空かせているんだね!でも大丈夫!さあ!僕をお食べ!!』


「えっ?ええっ! やめて下さい。私は宗教の関係でタコが食べれな……ふごぉ!」


『何か言ったかい!? さあさあ遠慮しないで、タコにはタウリンたっぷりだから元気が出るよ!』


「や、やめ、ごっくん! おおお!主よォォォ! …あ…い、息がぁ!!…………」


おや?痙攣するほど美味しかったのかな?

大丈夫! 僕は正義の味方、タコヤキんグ!! お礼なんていらないよ!


 ……おや?

次は肌艶が悪いカッサカサのカンガルーが困ってるぞ!


「明日の……計量をなんとしてでもパスしなければ……妻よ、息子よ。俺は必ずタイトルをとってお前たちを幸せにしてやるからな…」


『やあ!僕はタコヤキング!!大変だ!君、お腹を空かせているね! でも、もう大丈夫! 僕をお食べ!!』


「やッ、やめてくれッ!! タイトルが掛かってるんだ!」


『ほれほれ』


「なんで、こんな事をするんだ! や、やめろォォォ!! もぐう!」


『たこ焼き1個あたりのカロリーは40kcalだけど、僕の頭はソースマヨブーストしているから、カロリーはもっと高いよ!! ほら!元気が出てきただろう?』


「あ…あ…あ……」


 涙を流して喜んでくれるなんて! でも、お礼はいらないよ! 僕は正義の味方! タコヤキングだからね!!


 おや?

おやおや?

この声は…… 出たな!大腸菌マン!!


「は、ハヒィ。 タコヤキングさん。なんでいつも僕をいじめるんですかッ?!」


『問答無用! タコヤキーック!!』


「ゲボぁッ!」


 よし、今日もしっかりパトロールしたぞ!

そろそろ家に帰ろう!


『ただいま!天かすおじさん! たこやきの補充を頼むよ!』


「タコヤキング……その件じゃが、お主がタダで振る舞うせいでワシの財産は尽きてしもうた。もう正義活動は辞めてくれんか?」


『なんだ! そんな事なら、今から銀行強盗してくるよ!! ……大丈夫! 僕はタコヤキング! 正義は何をしてもいいのだからね!』


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