第4話 ゲート・ガーディアン
ズズズズズ……
「! 邪魔なやつらが来たか」
「ホント 空気が読めないわね」
「行こうキーン まずは第2波を防ぐ 全てはそれからだ」
「ええ行きましょう」
2人は歩き出す
「最終確認よ 基本的には第1波と同じ作戦で行く でも今回もうまく行くとは限らないわ ポイントはブラックをロードの入口で止めれるかどうか もしブラックの侵入を許してしまったら マインド消費の激しい
「分かった 厳しい戦いになるだろうけど オレ達が出来る事 やるべき事は1つだ ゲートは通さねぇ!」
ズズズズズ……
ブラックの壁が作られていく その壁は第1波の時よりも長くそして近い
「多い…間違いなく過去最大の軍勢だな…」
「だとしても ゲート前に入れる数には限りがあるわ 全軍を1度に相手する訳ではないわ」
「そうだな 数にビビるのは無意味だな ふうっ さて いつ来るか…」
ズズズズズ…ズ…
ブラックの動きが止まる そして…
「来るわよ!」
ピキーンッ
「「 死守せよ!! 」」
「
「
「うっ ウォールが 8…7枚しかない!?」
(クローズのスピードも遅い? 何かがおかしい!)
ドドドドドンッ ビキビキッ
オーカーが突っ込むとウォールがほぼ破壊される!
「なっ!? やばい!
慌ててウォールを張り直し振り向くと キーンが膝をつき頭を抑えていた
「キーン!」
「く う…急激に負のパルスが…」
「負のパルス!?」
カツヤがパルスに集中すると 小さく声が聞こえる
(ゲートを開放しろ…) (もう耐えられない…) (
「これが負のパルスか!? くそっ どうする!? とにかく1回オーカーを追い出す!
「うっ マインドがうまく伝わらない! こぉのおおおーっ!!」
なんとかオーカーをロードの外まで追い出し ロードの入口にウォールを張りなおす
「キーン!ロードを閉じれるか!?」
「くうっ だめ… 今の位置で維持するのが精一杯…ああっ」
バキバキバキッ!
「ウォールが破られた? もうチャイルドが来たのか? だとするとウォールをこっちに張らないとまずい!」
「
「キーン!大丈夫か!キーン!」
負のパルスが頭の中に響く
(ゲートを開放しろ…) (
「くっそおおぉー 邪魔するんじゃねぇっ!!」
キーンを抱きかかえながら 空に吠えるがどうする事も出来ない
ピキーンッ
「「
その時 王の一喝が王国全土に響き渡り 負のパルスをかき消した!!
「!」 「
キーンはすぐさまロードクローズを発動する!
ズズズズズ…
ロードが閉じていく だが閉まり切らない カツヤの読み通りすでに
「ごめんカツヤ 私のせいで」
「違う!キーンのせいじゃない!だから謝るな!今出来る事をやるんだ!」
「…そうね 分かったわ!王のおかげで負のパルスは ほぼ収まったけど完全に消す事は不可能よ いつまた増大するか分からない マインドの消費は激しいけどギリギリまでロードで耐えて ゲートとの2段構えにしておかないとリスクが大きすぎるわ!」
ウォールにはすでにオーカーが張り付いており それを押しのける様にチャイルドが姿を現す
「
キーンがまとめて動きを止める
「これでしばらくは時間が稼げるか?」
だが ロードがじわじわと広げられていく
キーンが万全だったとしてもチャイルドを抑えられるかどうかという読みだったのだ 今のキーンに抑えられる道理がない
そしてロードを広げられるという事は
メリメリメリッ メキメキメキッ
ブラックはロードを押しひろげ
オーカーやチャイルドを踏みつぶしながら近づいてくる
「
ブラックがウォールに触れる瞬間 キーンがロックする
「カツヤ! これ以上ここで耐えるのは無理よ!」
「分かった! 今のうちに安全な場所に退避して ゲートロックに備えてくれ!」
「分かったわ!」
ピキーンッ
「「 今 鎮圧部隊を各地に向かわせている おそらくこれ以上負のパルスが増大する事はないだろう 戦況は把握している 何とか持ちこたえるのだ 」」
「簡単に言ってくれるぜ だけど言われるまでもねぇ!」
カツヤはダッと駆け出しゲート中央に陣取る
「
バキバキッ!!
ウォールが破壊され
「10thウォール!」
カツヤはゲート中央を中心に広範囲にウォールを張り ウォールに手を添える様に
「
ドドドドドッ!
カツヤが自分の手で直接ウォールを支えていた
ウォールを固定してしまうと 激突の衝撃に耐えきれず破壊されてしまう
そこでカツヤはウォールを固定せずに自分を緩衝材にする事で衝撃を逃がしたのだ
それはエンハンスにより並外れた力を発揮するカツヤでも容易な事ではない
「ぐうっ 分かっちゃいたけどキツイ でも通す訳にはいかないんだよ!
10thウォール!」
破壊されたウォールを修復しながら必死に支える
しかし カツヤのウォールでゲートの全面をカバーは出来ない 広げる事自体は出来るが ウォールの強度が落ちてしまうしウォールに取り付く
ウォールを迂回した
「
離れた場所からキーンがロックをかける
ゲート全面に光が走りゲートロックが発動すると波及効果で ゲートに取り付いていた
(カツヤ!
カツヤにパルスで伝えながらキーンが安全な場所から ゲートに向かって走る
「分かった! ゲート中央は防いで見せる!両側を頼む!」
キーンの指示通りウォールを縮小して 数を増す
「な!何やってんだキーン!危険だ!戻れ!」
(だめよ!もう少しゲートに近づかないとゲートロックが維持出来ない! 大丈夫
「ぐっ くそっ 絶対に無茶するなよ!!」
だが この時点でキーンには分っていた
(今のうちに私が直接ゲートに触れながらゲートロックを掛けなければ!)
(今ならまだゲート中央付近に辿り着ける!)
キーンは
「ぐおおぉお… 10thウォール!」
カツヤはギリギリの所で耐えていた ウォールを縮小したとはいえ カツヤにかかる圧は尋常ではない
既に前方はもちろん両側もほぼ
そんなカツヤの目に信じられない光景が映る
「な!?キーン!?なんで!?」
(これから最大威力でゲートロックをかけるわ!ウォールを縮小してとにかくゲート中央を守って!!)
「何やってんだ!!死んじまうぞ!!逃げろ!!」
(言い争いをしてる暇はないわ!私を信じて!!)
「!! ゲート!ロオォォッックッ!!」
バチバチッ!! 耳をつんざく激しい音と共にキーンの体からプラチナの閃光が放たれゲートの全面を走る 同時にゲートに取り付いていた
「すごい!!そうか こうなる事を読んでいたのか! 急げキーン!今のうちに離れるんだ!」
キーンにも確信があった訳ではない むしろ
しかし…
キーンはその場に倒れ 動けなかった
(う… 体が…)
マインドを残したつもりだったが 負のパルスの影響がキーンの予想を上回っていたのだ
「キーン! どうしたんだ!? くっ…待ってろ!今行く!!」
助けに行きたいがカツヤも身動きが取れない
キーンはかろうじて
焦るカツヤにキーンから非情なパルスが届く
(だめよカツヤ… ゲートを守って 決意したはずでしょ! 何があってもゲートを守るって!私達は
「そんな… キーン!」
(くそっ どうする どうすればいい!? すぐそこにキーンが居るってのに!
絶対に守るって約束したのに!)
(キーンを助け ゲートも守る… )
「
カツヤはマインドを全開にしてウォールをひろげ 体ごとぶつかって行く だが
そんな事で押し戻せる訳もない
それはカツヤにも分かり切っている 分かり切っているがやらなければならない
やらなければ キーンが死ぬのだ
「くっそおおぉーっ!!」
しかし無情にも
ドドドドドッ
カツヤの目に キーンに向かうブラックが見え そして…
キーンの
「!! うおおおっっ!キーン!! キーンから 離れろーっ!!」
カツヤの強烈な意志が爆発的にひろがり 一瞬で王国全土の意志が統一される!
それは
不可能なはずの 〈
王国全域からマインドがカツヤの体に流れ込み カツヤを中心に
ズゴゴゴゴォォッッ!!
その瞬間 大地が地震の様に揺れ動き
まるで 王国自体が1つの意志を持った生命体であるかの様に
「下がれっ!!」 ズンッ!
カツヤが一歩踏み出すと
「
不可視の力が
「うおおおーっっ!!!」
ドドドドドッ ドオオオォォー … …
鬼気迫るカツヤに
そして 大地の揺れが収まる頃には
「はあっ…はあっ… …やった…のか?…うっ」
マインドを使い果たし倒れこみそうになるが何とか堪える
「キーン…」
振り返ると ゲートの近くに倒れているキーンが目に入った
「キーン!」 ドッ…
駆けだそうとして転倒してしまう
「くそ 体が…」
「キーン!… キーン!」
這いずる様に近づきながら何度も呼びかける
「キーン! キーン!…」
しかし キーンはピクリとも反応しない
「ぐっ…キーン…」
何とかキーンの元に辿り着く
一目見て 脚を骨折している事が分かる
カツヤは必死に呼びかける
「キーン! キーン!」
キーンは動かない…
「そんな… 嘘だろ… キーン… 」
カツヤの目から涙があふれる
カツヤはキーンの頬にそっと触れる
「キーン… 目を開けてくれ… 頼むよ… オレを1人にしないでくれ… 」
「キーン… 」
その時 キーンの
「…う… うう… 」
「キーン! 聞こえるか!キーン!!目を開けてくれ!!」
キーンはゆっくりと目を開けた
「…カツヤ?」
「うおおおっっ!キーン!」
カツヤは嬉しさのあまり キーンに抱きついた
「痛っ! あ 脚が…!」
「はっ! ご!ごめん!」
キーンは脚の痛みで意識がはっきりしたのか カツヤに今の状況を確認した
「
カツヤは キーンが無事だった事と 危機が去った事で感情が高ぶって まくしたてる様に話した
「いや オレにも良く分からないんだけど なんか力が湧いてきてさ ぐわー っと
そう言って涙ぐむカツヤ
「あはは… とにかく第2波は防げたのね それじゃあ私の話だけど…
あの時私は 負のパルスの影響で動けなくて 目の前にブラックが迫って来た時は 正直もうダメかと思ったわ
でも最後の望みにかけて
「そうだったのか
でもあの状況でそんな判断が出来るなんて流石キーンだ」
「でも もう本当にそれ以上打つ手はなかったわ そしてチャイルドに脚を挟まれて 多分折れた痛みで気絶してしまったんだと思う」
話していて冷静になってきたのかカツヤも落ち着いて話す
「でも骨折だけで済んで本当に良かった 第3波までにはマインドも回復して治癒出来るよ」
「そうね 今はとにかく体を休めないと この場から動くことも出来ないわ」
「ああ オレも限界だよ」
ピキーンッ
「「 よくぞ耐えた 2人の働きで第2波を退ける事が出来た
そして 王国を破滅の危機から救うことが出来た 感謝しよう
間もなく 外界を彼の地へと繋ぐ準備が整う
これより
その動きに合わせて ゲートを全開門 外界へと開放する
速やかに 退避せよ 」」
「え? ちょ… ちょっと待ってくれ 今 そんな事をされたら… 」
ドドドドド…
遠くから地響きが聞こえてくる
移動を始めたのだ
キーンの判断は早かった
「カツヤ逃げて 早く!」
「あ… ああ 分かってる2人で逃げよう」
「違う そうじゃないわ カツヤ1人で…」
「待ってろ 今 オレがキーンを… 」
抱きかかえようとするが脚に力が入らず 自分が立つ事もままならない
「何してるの!?無理よ!2人一緒には…」
「よし! オレがウォールで守る!」
ドドドドド… 地響きが近づいてくる
カツヤはキーンの体をかばう様に覆いかぶさる
「何言ってるの!そんな事出来る訳がないわ!!」
「大丈夫だ 絶対に守るから」
「カツヤ! お願い…私を置いて一人で…」
「嫌だ!!!」
キーンの目が驚きに見開かれる
「オレはずっとキーンと一緒に居る!!! …そう言ったろ? 」
キーンが 泣き笑いの様な表情に変わり… その瞳に涙があふれる…
その時 2人の間で見えない何かが パッと
パルスがつながり…
心がつながる…
「キーン…」
「カツヤ…」
そして 言葉が重なる
「「愛してる…」」
ドッ!!!
次の瞬間
チャイルドもオーカーもブラックもボムも混ざり合い 正に
もはや この激流を止める事は不可能だった
――― カツヤは今まで感じた事のないマインドに包まれていた…
(誰かが呼んでる…?)
眠りから覚める様に目を開けると 体の下にキーンが居る事に気づく
「カツヤ…」
「キーン… これは… 一体何が… 」
「私にも分からないわ… カツヤが目を覚ますほんの少し前に私も気がついたの…」
「でも きっとこれは… カツヤにもこの声が聞こえてる? 」
「声?」
カツヤがパルスに集中すると…
(ありがとう… ありがとう… )
それはつながるはずのない相手からの
聞こえるはずのない声だった
ドドドドド……
(ありがとう… ありがとう… )
感謝の声は続き 次第に
そして 最後の
ゴオオン…
ゲートが閉じた
ゲートが閉じるその時 一瞬垣間見えた外界は
まるで 水の楽園の様だった…
カツヤは緊張が解かれ とても穏やかな気持ちになっていた
自然と体の力が抜けていく…
「ちょ… カツヤ 重い…」
「あ! ご ごめん!」
慌てて体を離そうとすると キーンにそっと抱きしめられた…
「うん… いいよ…
――― とある王国の辺境に1つの門があった
その門の名は
これは その門を守る2人の
「来るぞ キーン」
「カツヤ 私の名前はキーンじゃなくて… 」
「はいはい 分かった分かった…」
「来やがれ
オレ達が
この
「通さねえ!!」「通さない!!」
終わり
あとがき
という訳で う○こ と
考えていたよりも大分長くなってしまいました
途中で気づいた方も最後まで気づかなかった方も楽しめる様に仕上げたつもりですが
いかがだったでしょうか?
最後まで読んで頂いたあなたに感謝を
門の守護者 木浦 功 @bmatsuyama
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