僕
10ヶ月前の僕の話
【僕】
彼女を好きという気持ちが芽生えたのは
彼女が生まれ持つその容姿だった。
目が真ん丸で大きくて、鼻がすらっとしてて
オマケに勉強も出来て…。
なんて完璧なヤツなんだって思った。
見た限りあんまり人と話すのは得意じゃないのかな?って思ったから僕は彼女に積極的に話そう!って決意したんだよなぁ。
僕は最初話しかける時にはかなりの緊張が走った。
もうド緊張だったよ。
想像してた通り、彼女は初め、僕に素っ気ない態度をとっていた。
まあ、そんな姿もすっげえ可愛いかったんだよなぁ。
そうやって僕は彼女にどんどん惚れて言った。
どうやって告白しよう。どうやったら僕を好きになってくれるかな。毎日のように悩んで悩んで悩みまくった。
僕は正直言って、容姿や勉強、あんまし優れた特技もなかったもんだから、自信がなかった。
どこからも自信が持てなかった。
でもある時何故か、絶対、今だ!って思った瞬間があって。謎の自信が溢れてきて。
僕は気づいたら彼女に告ってたんだよ。
そうしたら彼女はあっさりいいよ。だってさ(笑)もうその日の夜は1人でどんちゃん騒ぎだったな。
*
───夏休み、彼女と海へ出かけた。
色白の肌に、綺麗な腕にすらっとした足。
水着姿もすっげえ可愛かった。
俺の前で水着を見せる彼女は少し恥ずかしそうだったけど。
こんなチャンス二度とない!って思って写真を思いっきり撮った。
そんな僕を見て彼女は、恥ずかしから!って言って少し怒らせたくらいだ。
じゃあ、って僕は彼女にどっちが多く写真を撮って帰れるかっていうゲームを提案して、そしたら彼女はよぉ〜し!って本気になって夢中で写真を撮りまくって─────。
ピシャッ ピシャッ
水を掛け合う。
水しぶきが舞う。
水しぶきは光が差し込んで、まるで昼間の花火のように幻想的に写った。
海岸では、砂のお城を作った。彼女はここに、水を通らせて川を作るんだって言って必死になって穴を掘っていた。
小学生かよって。
そんな彼女が、僕は本当に大好きで。
この世で1番好きで。
彼女を、俺が、世界一愛してるって自信があった。あ、写真の勝敗はもちろん、分かってるよね。
───僕は思ってもみなかった。
僕がこんなにも、妹を激愛してしまうなんて。
*
【僕の天国での話】
実を言うと、僕はこの世に生まれた直後に自分自身で心臓が動かすことが出来なくなってしまいこの世を去った。気がついたら天国の世界に辿り着いてて・・・それからというもの僕は天国から世界を見渡せるようになった。
だけど他の人の生活なんかやっぱり興味がなくて。僕の母親、父親、その間に生まれたもう1人の女の子の赤ちゃん。
自分の家族をささやかに見守っていた。
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
────天国には神様が存在する。
だけれど、それは本当に必要な時にしか呼び出すことが出来ないと噂されていた。
ある時、神様が僕の目の前に現れたんだ。
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
───妹が生まれてから約12年間は穏やかに幸せそうに暮らしている僕たちの家族を見て、僕もとても幸せだった。
しかし、僕の妹は中学生になった頃、クラスで虐められるようになった。
その言われている言葉や、暴力、嫌がらせ。
言い表せない程、皮肉なものだった。
なのに、それなのに、僕の妹はこの事を誰にも相談していなかった。
本当に本当に辛いはずなのに、妹はそれを全て1人で抱え込んで、このままだと精神病になるんじゃないか?いやなっていないと逆におかしいんじゃないか?って僕は考え始めた。
───いじめは学年が1つ上がっても続いていた。
天国から見守っていた僕も、以前みたいに幸せに暮らせる事が出来なくなっていた。
事あれば妹を見守り、一緒にもがき、苦しみ…そういう毎日を送るようになった。
もう、僕は居てもたってもいられなくなっていた。
───そんな時に、神様が僕の目の前に現れた。
「貴方の妹は、今現在も友人関係で悩みもがき、苦しみ、今この瞬間も我々が住んでいるこの世に来たい。と強く願っている状態だ。この事態は、我々にはどうしようも出来ない。ただ、貴方の力では妹を助ける事が出来るかもしれない。それには大きなリスクが伴うけどな──」
僕は何があっても妹を助けたいと思った。
だから、迷うことなく神様が僕に与える条件を飲み込んだ。
*
───彼女はその後、不登校になり、家に引きこもっていた。
だけど、僕もそうだけど、妹も根が真面目だからなあ(笑)
人間ってこんなに勉強できるか?ってくらい、彼女は高校受験に向けて猛勉強していた。
僕は神様の申請を通してもらうのに、思った以上に時間がかかって、人間世界に行くのに3年かけて準備してやっと認められた。
そうして僕は、現実世界の高校3年生として
貴方の前に現れた。
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