ある毛虫

@TheDreamer

ある毛虫

ある毛虫気づいたときには毛虫になっておりました。


黒く、醜く、恥知らず。そんな生き物でございました。


とある日、友人の毛虫(毛虫ではない)と揉めました。


記憶は定かではないのですけれど、

おそらく私と彼との心地の悪さの積み重ねが招いたものでありましょう。


今となっては羨ましいものですが、当時は心地が良く思わなかったのです。


初めは、帰宅したのち飛びつくように遊んだものです。


あれはいいものでした。

彼と遊ぶうちはなぜだか、今後の不安が消えてしまうのです。


しかし、進学して五ヶ月が経過しよう時からでしょうか、

なにか、心の奥底で心地悪さを感じ始めたのです。


それは学歴という差の劣等感が生み出したのか、

はたまた、長い時間を過ごすうちに、お互いの人間性の限界を知ったか、

さては両方か。


私には分かりませんが、しかし、その心地悪さを感じながら、

淡々と友人という関係は保たれておりました。


あるとき、彼が私の逆鱗に触れてしまいまして、私は彼のことを罵りました。


そこで初めて、今まで溜まっていたモノを彼に向かって吐き出してしまいました。


ここから、毛虫と成り下がったのです。


己のことのみを考え、相手ではなく己のみの解消。


まさに、毛虫の器にてございます。


そのことがあり、友人とは縁が切れてしまいました。


切れて一年と三ヶ月は毛虫を彼に吐き出したことを、勇気と思っておりました。


それどころか、自らの誇りとさえ、感じていたのかもと、今思います。

まさに恥知らず。


しかし、一年と四ヶ月。

この時から、私の中で副作用が現れてまいりました。

将来に対する不安、自分のやるせなさ、数え切るに足らぬ後悔。

悔やんでも悔やみ切れぬ。


それに耐え切れなくなって、彼にある方法で連絡いたしました。


それは彼が配信をしている際に、チャット欄で打ち明けるものです。


私は彼のアドレスを知らなかったのでこの方法しか思いつきませんでした。


そして、いざ送信しようと決心いたしまして、

遂には自然と体が文字を打ち込んでおりました。


一緒に確認いたしましょう。

「お久しぶりです。(本名)です。誠に勝手とは存じますが、謝らせていただきたいです。」(本名を出しているから伝わるはずだ)


おお!なんと愚か!

本心は「もう一度遊び、後悔を忘れたい」であるにも関わらず、

己で書かぬことを選ぶとは!

もはや己が毛虫であることを受け入れているではないか。


その愚かさを見極めたのだろうか、

彼はこう言った。

「君は君が毛虫たらんとする理由を考えたことはあるかい?君は、、、」


私はすぐに配信を閉じました。


彼が発する言霊が私を殴るものですから、

あまりに心臓の音が大きくて声が聞こえませんでした。


この少し後、この小説を書いております。


いつか、彼の元にこの薄汚い感情の羅列が届くことを祈って。


どうか私を許してください。若かったのです。


あなたは私を必要としていないかも知れませんが、

私はあなたを必要としています。


最近、心の声が私を誘うことがあります。

その声に流され行きたい気持ちも、将来の不安のせいか、ございます。

どうか、ご連絡をください。どんな形でもとても嬉しいです。

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