夏の日の恐怖
@Baumkuchen_904
第1話
この悪夢から逃げることができないと俺はトイレに閉じ籠もったまま、出られなかった。
今日は夏休み最後の日、俺は残っている課題に追われる一週間を過ごしている。両親とも共働きでこの家には日中、俺以外誰もいない。どんだけ騒いでも怒られないし、どんだけサボっても怒られない。俺にとって最高のこの環境が俺を最悪の一週間へと導いた。
残りの課題をちゃっちゃと片付けたいのだが、外を見ると気持ちがノってこない。涼しくてありがたいのだが、やはり雨は気分がノらない。気分もドンヨリ、体もドンヨリ。あの嫌なジメジメとした暑さを自分は欲している。
そう思って残っている課題に手をつけないで空に向かって晴れることを祈っていると午後になっていた。
そんなことをして半日を無駄にした自分が恥ずかしくなり、ようやく課題に手をつけたその時だった。
ガシャン、、コロン。
誰もいないはずのキッチンから音がした。キッチンは一階、自分の部屋は二階のはずだが、かなりの音が二階まで届いた。
課題を終わらせなければならないのに、下で起きたことが気になって好奇心に身を任せてキッチンの様子を見に行くことにした。それでも身体全体を好奇心に任せることはできなかった。自分が歩くときに生じる小さな物音でさせも少し怯えてしまう。一階に着くまで小一時間かかった気がする。ここまで来るとある思いが頭の中を駆け巡る。
二階で課題をやっていればよかった
早く自分の部屋に戻りたい
一階になんで来ようと思ったのだろう
しかし、ここまで来たら引き下がることはできない。キッチンの様子をしっかりと確認しなくては。恐る恐るキッチンに向かって一歩を踏み出す。どんどん近づくキッチン、身体は拒絶反応を起こしているが足は好奇心の塊のようだ。一歩踏み出すごとにメキッ、メキッと木が軋む。いつも鳴らないはずの音がなっている。鳴らないというより気にしていない音がよく聞こえる。
そうこうしているうちにキッチンに到着した。しかし、見た感じものが散乱している様子もなくいつも通りの光景が広がっていた。それでも好奇心の塊はキッチンの中へと進んでいく。お箸、お茶碗、カップ、お皿などしっかり家族分ある。
気のせいだったかと思い、ホッとしてキッチンを後にしようとした。その時、俺は並々ならぬ異様さを感じた。
やけにお尻のところが重いのだ。それに何かが当たっている感覚がある。俺はその場に立ち止まることしかできなかった。この助け呼ぶこともできない状況は最悪の一週間の中でもダントツに最悪な場面だった。そして俺の手は足の好奇心が移動したようにお尻のところへと動いていった。その指先に物体の感覚を感じた。
恐怖に支配された俺は自分だけの空間に閉じ籠もりたいと思い、トイレへ勇気を振り絞って走った。走っているときもお尻には違和感がずっと残っていた。トイレに閉じ籠もった俺は自分の頬をつねってみたが、どうやら現実らしい。この悪夢から逃げることができないと悟った俺はズボンとパンツを勢いよくおろした。
目線を下に向けるとそこにあるのはズボンの上にありパンツの上にある茶色がかった長ナスのような物体であった。
夏の日の恐怖 @Baumkuchen_904
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
カクヨムを、もっと楽しもう
カクヨムにユーザー登録すると、この小説を他の読者へ★やレビューでおすすめできます。気になる小説や作者の更新チェックに便利なフォロー機能もお試しください。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
この小説のタグ
関連小説
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます