出会い
「さて、君が聞きたいのは多分そういう人造人間の技術的なこととか、私がどうやって造ったとかそういうことじゃないんだろう?」
お前の望むものを早くさらせと言わんばかりに表情の一つも変えずに彼は話をするりと回転して見せた。
「…そうですね。私が聞きたいのはなぜ彼らが人であるのかということです、ロボットでも動物でもない。生物としての人の形をとっているか?です」
「難しい話じゃないんだよ、人に寄り添うのはできるだけ人であるべきだと僕が考えてるだけなんだ。夢とか技術を抜きにして人が背伸びして届くのはどうやっても人間までなんだ、だから彼らがそこにいても違和感がない、彼らくらいのことはどんなに人間でも努力で追いつける、そんなふうに思ってもらえるからね」
傲慢で自分勝手な考えだと思う一方でそれが正しいと思う自分もいた。そしてそんなことを言い切ってしまう彼に無性に腹がたった。
「いい顔をしている、そういう感情を持つのは人だけなんだ矛盾したものを内包してでも違う人を歩める」
さて、と彼は言いながら部屋の奥のドアを開けた。そこには一人の人造人間が立っていた。
「紹介しよう。出来立てほやほやの新開 雄介君だ、よろしく頼むよ」
人造サラリーマンの青春 河過沙和 @kakasawa
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