エピローグ
エピローグ ――特別な普通少女——
体育館にそろった全校児童。ステージの上では、校長先生がさっきからずーっと話をしている。今日はいよいよ終業式。明日からは待ちに待った夏休みだ。
「校長先生の話、普通に長いよねー」
「だよねー」
近くの子が、ひそひそ話をしている声が聞こえた。
この場合の普通は、ネガティブな意味だ。
色々と考えた結果、やっぱり私は普通少女だ。
違うと言われるかもしれないけれど、自分自身のものさしで言ったら普通少女だ。
けれどなっちゃんからは「人を見る目がある」と言われたし、陽菜ちゃんや唯ちゃんからは「私だから話せた」と言われた。だから良い所は自分で気づけていないだけで、けっこうあると思うんだ。
とにかく、今の私は普通少女。けれどこれから先、どうなるかわからない。もしかしたら信長さんや卑弥呼ちゃんみたいに歴史に名を残すかもしれない……なんてね。
未来の事なんて、誰にもわからないのだ。
だから今はただの普通少女。それが私。今はまだ――。
ちょっとだけ後ろを見ると、陽菜ちゃんと唯ちゃんが見えた。
私は「う」で二人は「ま」と「は」だから、名前順に並ぶとだいぶ離れている。
陽菜ちゃんはつまんなそうにしていて、唯ちゃんは真面目な顔をしているけれど、あれはあきている顔だ。つまり考えていることはみんな一緒。早く終わんないかなだ。
昨日の放課後、三人でいる時にまたポケベルがピピピとなった。
文面は、『ナツヤスミ モ アソビニ キテクダサーイ』だ。夏休みも遊びに来てくださ~い。マダムさんの声と話し方で、ばっちり頭の中に再生される。
きっとあの角隈山にそびえ立つ怪しげな洋館——変なモノ博物館のメイン展示室では、歴史上の人物に由来する変なモノたちが「おいでよ」って私たちを待っているんだろう。
私たちの答えはもちろん「
次はどんな時代に行けるんだろう、次はどんな偉人の意外な一面が見られるんだろうと、ワクワクが止まらない!
終業式が終われば、いよいよ今年の夏休みだ。
きっと今年の夏は去年よりも何倍も不思議で、何倍も面白くなるという確信が私の中にある。陽菜ちゃんと唯ちゃんもきっと同じ気持ちだと思う。
明日は早速三人で、角隈山にある変なモノ博物館へ行こう!
そこでマダムさんの美味しい紅茶をいただいて、そしてタイムトラベルするのだ。
いつかこうやって過ごした日々も、歴史の1ページになる。
だから行こう。変なモノが導く、不思議な歴史の世界へ!
おいでよ変なモノ博物館! 青木のう @itoutigou
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