おまけ 


「…あの。今度、水族館に行きませんか?」


 少し緊張しながら、そんな提案をしてみる。


「白イルカやペンギンを見に…」


 と、室長の方を伺う。


「……」

 

 室長は困ったような、驚いたような顔をしていた。


 でも嫌そうではなくって、少し顔が赤くなっていた。


(かわいい……)


 あ、でも。

 立場上、上司と部下じゃ、まずいのかな。


 前言撤回しようか迷っていると、室長が先に口を開いた。


「YouTubeで見れるだろ、イルカもペンギンも」


 なんて現実的。

 室長らしいけど。


 すたすたと先を歩いていく室長の背中に、

 むすっとむくれ顔をする。


「それはそうですけど~!」


 と、私も後を追いかけた。



(完)

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

帰宅したら白イルカがいた。 小栗とま @putinotomato

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

カクヨムを、もっと楽しもう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ