くずみたいな関係

ゐる

しあわせになりたい

軋むベッドの音、水の音、甘い声が響く部屋で男女二人が交じり合う。


”すき”だなんて一切言わない。


名前なんて一切呼ばない。


荒い呼吸と秘部だけで会話をする。


そんな関係性に名前なんてなかった。




あの日君は今にも泣き出しそうな顔で僕と会ってくれた。


「どうしたの」


君とお別れする直前にやっと出た言葉だった。


「わたし、しあわせになれるかな」


それが長い間一緒にいて初めて見る君の涙だった。

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くずみたいな関係 ゐる @hate_iru

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