月のプリンセス
「ですが……イツキ様と神楽坂様が結ばれて出来た子供……その子供が歴史に名を轟かせる極悪非道な独裁者になるのです……彼はドローン兵を活用し人類の3分の1を粛清していきます。月では未来の記憶を見ることができます。そこで私は見たのです! 逃げ惑う人々。希望を失った人々の目。まだ幼いのに銃を持ってドローン兵と戦う子どもたち……」アリスは言葉を詰まらせる。
「深刻な話の途中ごめん。いま俺おしっこしてるんだけど」俺は言う。
俺は小便が止まらずまだジョボジョボしていた。やべぇなんか深刻な話始めてるぞ。なんなんだよこの状況は……
「今すぐ神楽坂様のところに行って告白を取り消して下さい。そして、神楽坂お前のことなんて大嫌いだ! こう言って下さい。未来の子どもたちのために……」とアリスは目に涙を浮かべながら言う。
ジョボジョボ俺は小便をしたままだった。
「ここまで言ってるのにちゃんと私の方を見てくれないんですね……」残念そうにアリスが言う。そして
「もういいです!」と言ってアリスはバタンとドアを開けて出ていった。放尿中なのにドアを開けっぱなしにされる俺。俺は放尿を終えてトイレの水を流す。
俺がリビングに行くと家族たちが疲れたように会話していた。
「どうしよう」
「本当おにぃなにしてんの」ヒナや母親が動揺するように言う。
「お前アリスさんが泣いてたぞ」父親が俺にそう言う。
「あの……泣きたいのは俺なんだけど……」
アリスの方を見るとシクシク泣いている。
「ところでアリス……さん。俺と神楽坂が結ばれるって……多分それはあり得ないと思うよ。だって俺神楽坂のこと嫌いだから」俺は言った。
「俺と神楽坂が結婚するのはまずい。だからアリスさんと結婚してそれを防ごうってことだよね」俺は言った。アリスはコクコクとうなずく。
「でも、それはないよ。だって俺、神楽坂のこと心底から大嫌いだから。今日告白したのも最終的に振るためだよ。あれは神楽坂に対する復讐だから。だからアリスさんは無理に俺と結婚する必要がないんだよ」俺は言った。
「それは……私のこと嫌いってことですか?」アリスは俺に聞いた。いや、まったく違うけど。
「あの……話聞いてた? そういうことじゃなくて、神楽坂と結婚するなんてあり得ないって言ってるの」俺は言った。
「あの……私もイツキ様が神楽坂様に告白した瞬間を見てたんです。窓の外の空から。その瞬間胸がキュンとして……で、その時思ったんです。あぁ絶対この人私のこと好きだって……」
え? どういうことだよ……その時点では俺はアリスのことなんて全く知らなかったのに……
「いや、最後飛躍してるだろう。アイドルのストーカーみたいなこと言うのやめてよ……」俺は言った。
「それと私と結婚するとこの世界が救われるのです。イツキ様と私が結ばれたらその子孫に英雄が生まれるのです。そう遠くない未来に世界に未曾有の危機が迫ります。ですが、その英雄が世界を救います。だからこれは私達だけの問題ではないのです。この世界の問題です!」とアリスは言った。
なんだか話のスケールが大きくなってきたな。これマジかよ。
「だけど……月から来たってのはどうも信じられないんだけどな……なにか証拠でも見せてくれたら話は違うんだが」父親はそう言った。
「分かりました。それではジュリア!」アリスがそう言うとジュリアが大きながま口のバッグを開けてそこから巻き物のようなものを取り出す。
そしてジュリアは言った。
「この袋はフォーディメンションポケット。日本語にすると……」
「いや、それ以上は……やめましょうか」俺はたしなめるように言う。一体なにが始まるんだ。俺は思った。
◇
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「ちょっ!オタクって無理!」 カースト上位の神楽坂唯にそう言われたのでリア充になって「しゅき……大好き!」って言わせてから速攻フリます! 水ManJu @mizumanjuu
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