88 開高健『日本人の遊び場』⑫脱線:遊びの予算は? その5

●「ナイター映画」


 ナイター映画の回は、こちらで先に取り上げていましたが、お金の記述だけを拾います。


◆78 開高健『日本人の遊び場』②

https://kakuyomu.jp/works/16816700426989514413/episodes/16817330667543854453


 川崎の映画館の食べ物。


〈〝おにぎり〟が八十エン〉


 新宿の映画館では、


〈〝のり巻〟が百エンであった。〉


〝のり巻〟六個とガリが少し、具はカンピョウ。別にどうということはない味だったということです。


 そして京浜工業地帯の映画館についての描写の末尾に。


〈かりに映画を見ないで寝るだけだとしても、十二時から寝たとしたら朝の六時まで六時間。六時間を三百円ですごして体のやすまるところなんて、ほかにそうザラにないよ。〉


 ナイターの入場料は三百円だったのでしょうか。


 中野大映でのオールナイト『人間の条件』の料金は。


〈入場料も安かった。百五十エンである。〉


 参考までにいつもの『値段史年表 明治・大正・昭和』(朝日新聞社)をひいてみましょう。


 昭和三十八年の封切り館の入場料。三百五十円。


 なるほど、ナイターは安いですね。


 仕事に疲れた若者たちが来る場所だなあ。ちょっと切なくなります。


●「磐梯高原」


 福島県です。国立公園指定の磐梯・吾妻・安達太良のあたりです。

 キャンプ地として魅力があるのですが、まだうまく利用できでおらず、もろもろ整う前の状況が描かれ、貴重です。


 お金の話がなく、割愛します。


●「浅草木馬館」


 この浅草の活気を残す芝居小屋、入場料百三十エン。

 私は大衆演劇が好きなのでとても興味深い一篇なのですが、お金の話がここまでなので割愛します。


●「阿波踊り」


 地域の踊りを取り巻く人、歴史についての一篇。

 こちらもお金の話にはならないので割愛します。


『日本人の遊び場』最終回は「ヘルスセンター」で、こちらはまた入場料他の話題がありますので、次回で取り上げて、この寄り道も終了とします。

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