89 開高健『日本人の遊び場』⑬脱線:遊びの予算は? その6
●「ヘルスセンター」
船橋ヘルスセンターのルポです。
船橋ヘルスセンター。
楠トシエにはまったときに購入したCDにも入ってました。CMソングの『長生きチョンパ(船橋ヘルスセンター)』。YouTubeで聴けますのでぜひご視聴ください。頭から離れなくて困りますから(笑)
Wikipediaによると、営業は1955年から1977年。
『日本人の遊び場』は1963年の本ですので、まだまだ勢いがあったのではないでしょうか、船橋ヘルスセンター。どんなところなのかな。
〈なんでもある日本の船橋ヘルスセンターは、なんというか、遊び場の総合大学みたいなもので、まずないものはない。十二万坪の敷地いっぱいにおよそ思いつけるかぎりの遊び道具をワーッと、ゴチャゴチャッと、ぶちまけているのである。〉
ボウリング、玉突き、スマートボール、電気銃、ローマ風呂、大滝風呂、と、延々と並ぶのですが、ジェットコースターも夏でもできるスキー場もあるというのはすごいな。
お金のほうを見てみましょう。
〈夏の多い日には一日およそ二万五千人から三万人がおしかける。年中無休。入場料は大人が百五十エン。子供が八十エン。団体割引あり。持込みの酒やビールについては一本にいくらいくらと持込料を頂戴する。〉
〈二百エン〉がつましい遊びの平均的予算である様子をうかがいながらここまで来ましたが、百五十円か。
〈いっさいがっさい含めて一日の水揚げ料はどのくらいあるものですかと重役氏に会って聞いたら、多い日で一日にざっと二千万エンだという答えだったので、覚悟はしていたものの、声を呑まされた。それが全部、現金で入るのだから、すごいことになる。千葉県はこのヘルスセンターで食ってるのじゃないかと思いたくなってくるほどである。〉
ネズミの国の前には、このヘルスセンターがあったということですか。
おそるべし、千葉県。
〈くらくらとなって東京へもどり、ある日、テクニランドの設計に一役買った友人に話したら、それは少し大げさすぎるという。銀行筋を通じて業界研究をしてみたことがあるが二千万エンということはない。まず七百万か八百万ぐらいではないかと思うという答えだった。〉
東大出のまじめそうな重役氏がなぜ千二百万エンものサバを読んだのか。それとも友人が嫉妬してホラを吹いたのか。いぶかる開高健です。
さて、お金の話で寄り道をしました。
次回から、元に戻ります。
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