64 カバヤ文庫のはなし。⑩
前回、横道にそれまして、大正時代に森永キャラメル、明治キャラメルが魔術の女王・松旭斎天勝とコラボしていた件を取り上げました。
昭和二十年代、カバヤキャラメルも文化活動に協賛していました。
〈昭和二十七年三月二十日から五月三十一日まで、大阪で「講和記念 婦人とこども大博覧会」が開かれた。天王寺公園を第一会場に、大阪城公園を第二会場にしたこの博覧会は、大阪市・産業経済新聞社・大阪新聞社が主催し、カバヤも協賛団体として参加した。カバヤは、第一会場の新世界正門に、長さ五十メートル余りのカバヤキャラメル橋をかけたが、左右の動物園をつなぐその橋の中央には、カバヤキャラメルのあの赤箱の大きな模型が置かれていた。「カバヤ文庫」誕生のきっかけは、この博覧会のためにカバヤの社員・原敏が大阪へ来たことによって生じる。〉
重要なイベントだったようです。
カバヤ文庫が生まれた時代、どんな雰囲気なのでしょう。
「婦人とこども大博覧会」は、このような趣旨のもとに開催されました。
著者は『講和記念 婦人とこども大博覧会記念誌』(昭和27年)から引用します。
〈洋の東西を問わず、一国興隆の基礎が「母」にあり、健全明智な母が育む「子」に存することは世界の歴史が明示するところである。而して、この伸びゆく「こどもの世界」に美しい夢と明るい希望を抱かせ、かつ健やかな成長をとげるための指標となり、その母には教養と育児に貴重な示唆をあたえようとするのが本博覧会の大きなねらいであり、広く一般の理解を求めるべく新興日本の政治、産業、経済、貿易、通信、交通、教育、文化、その他各界にわたって適宜の施設と示現をくり展げ、一つは現実日本の縮図都市、一つは市民、学生、団体レクリェーションの新しいモデルとして、もって再建日本に寄与すべく企画されたものである。〉
戦後復興! の雰囲気が濃厚です。
つづきます。
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