62 カバヤ文庫のはなし。⑧
さてさて。時々当時のお金の価値など確かめながらここまできましたが、カバヤ文庫を欲しがった子供たちのおこづかいは、どのくらいだったのでしょうか。
〈『わが世代・昭和十三年生まれ』(昭和54年9月、河出書房新社)に紹介されている「全国菓子飴新聞」の調査によると、昭和二十八年度の小学六年生の夏休み中の小遣いは、一人平均百七十九円六十銭であった。〉
「カバヤ文庫」一冊120円。すぐなくなってしまいます。ちなみに「世界少年少女文学全集」は一冊380円、「日本児童文庫」は220円だったそうです。
〈だから、カードでもらえる「カバヤ文庫」はいっそう魅力的であった。さきの調査では小遣いの二七%(約五十円)はキャラメル代であったというが、その時代、たいていの子供がキャラメル好きであった。そのうえに一箱十円のカバヤキャラメルを何個か買えば、ハードカバーの本がもらえたのである。〉
ここまでのラッキーはなさそうですけれど、大当たりの10点券が続けて5枚出れば五十円で一冊もらえることになります。
やっぱりたくさん読みたい時期の子供たちに本は高いので、カバヤ文庫に夢中になるのもわかります。
学校図書館も始まったばかり、公共図書館の児童サービスもまだまだのこの時期。おやつの楽しみと結び付いて読書が楽しまれた。子供向けの商品を扱う企業の活動としての功績は小さくないと思います。
『おまけの名作』、続いて、カバヤ食品の面白いPR活動、文化活動の広がりについて触れられます。
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