53 作者の都合。『都新聞版 大菩薩峠』②
さてさて、少し間が空きましたが前回の続きです。
連載途中で、作品の別の可能性に気づいてしまう。
Web小説サイトで日夜趣味の執筆をしていても、よくあることです!
中里介山、それを素直に新聞連載中に反映させ、「ここからはこう読んでね!」と宣言しました。
のちにそれについて、さらに読者への挨拶があります。
龍之助の子である赤子の郁太郎を、龍之助の屋敷に仕えていた与八が背負ってとぼとぼ歩いている。第一五〇回の末尾にはこのような一文があります。
〈中里先生曰く、この物語りは、京都から再び大菩薩へ帰るまで、まだ〳〵長いのですが、もう大分回数も積りましたから、兎も角此処で切り上げます、材料を与えられ、或いは同情ある書面等を寄せられし方々へ、お礼を申上げます、知りつつ年代を超越した処などもありますが、後日に訂正致しましょう。〉
知りつつ年代を超越した処!
いい言い方だなあ。
で、なんか、〈小説家になろう〉さんの仕様の、あとがきみたいですね!
この、〈新聞小説〉という場の使い方、Web小説サイトみたいで親近感が(笑)
しかし、これってどうしてこうなったのでしょう。ほかの同じ時代の新聞小説、そういうことしてたかなあ。
そんな疑問を持ちつつ、前回の終わりあたり、
>なんと乱暴な話でしょうか。ネット小説でも途中で間違ったからといって、ここまでしませんよね! 新聞小説は連載中修正できないからって許されたんですかね。
このようなことを書きましたので、ちゃんと『都新聞版 大菩薩峠』一、二巻の巻末解説(解説:伊東祐吏)を読み返してみます。昔、読んだはずなのに忘れてるぞ!
読んでみたら、やっぱり忘れていて(笑)わかったこともありましたので、次回に続きます。
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