とても印象深い物語でした。
「彼」みたいな子、私は憎めないタイプ。極度の鈍くさで、でも悪気はなくて……たしかに、そういう子のことを許せないタイプの子もたくさん居るだろうし、仮に才能に溢れた子だったら普通に嫌われちゃいますよね。笑
亡くなった背景も、かなり鈍くさというか、あっけなさすぎて、その場に居た主人公は本当にびっくりしただろうし、本当に悲しかったのだろうなと。自分のピアノ人生を捨てるほどに小指を切り落とそうとした気持ちは想像を絶します。主人公は「彼」と仲が良かったという以上に、寄宿舎のルームメイトだったのだから……。ただの友だちよりも、さらに近い関係だったのかなあとも思いますし。
母であったはずの未亡人が、「彼」を美化し、才能あふれる音楽家の若すぎる悲劇の死、と思い込み、かつ、自分を「彼」の妻だと思い込んでしまっているのもまた……とてもつらいものがあります。
残された人たちが前を向いて歩いていけるようになるまでに、どれくらいかかるのでしょう。
作者からの返信
人の気持ち・思惑の “すれ違い” “噛み合わなさ”を
表現しようと考えて書きました。
私だったら、悪意なく凡ミスを繰り返す無邪気な人が
近くにいたら憎んでしまう気がします(了見が狭い……)。
ご閲読まことにありがとうございました!
終わりのない曲、悪夢ですね……。
主人公は、見果てぬ夢を生きる未亡人の妄想に、フィーネを書き込みに行ったのですね。でも、その目的は果たさずに帰る。これは主人公の思いやりなのかなと思いました。
未亡人の生きる世界で聞こえるピアノ曲はどのような音楽なのでしょうね。
確か、エリック・サティが永遠に繰り返す終わりのない曲を書いていたような覚えがあります。
あるいはショパンかな……。
幻想的な雰囲気のお話でした。
自主企画へのご参加ありがとうございました。
作者からの返信
演奏シーンは語り手の回想の中で
ほんのちょっぴり(?)なので、
募集条件に合うかどうか微妙だな~と思いつつ、
半ば強引に参加させていただきました。
ご閲読ありがとうございました!
編集済
繊細で美しい情景描写は勿論、心の機微も細やかに捉えた作品でした。
幻想的な雰囲気の中で、「彼女」から漂う腐臭が、主人公の苦い過去と「噛み合わない違和感」を掻き立てる。
『見果てぬ夢と呼ばれる毒々しい妄念の花が綻んで腐臭を放っていた。』の一節で、思わず呼吸が止まりました。
「終わらない楽譜」と「堂々巡り」の比喩も、作品全体の主眼を綺麗に取り纏めていて、最後の最後まで多彩な表現を味わうことができました。
改めて自主企画へのご参加、有難うございました。このような素晴らしい作品を読ませていただき光栄です。
作者からの返信
お褒めにあずかり光栄です(褒められ過ぎてビビッてます💧)
ご閲読まことにありがとうございました!