第49話 そんなこんなで

 そんなこんなで、2ヶ月間の小児科研修はあっという間に終了した。担当した入院患者さんは49人、時間外などで診察した患者さんは数えていないが、300~350人程度になるかと思われる。


 入院患者さんでは、発熱時のけいれん重積発作で「熱性けいれんの重積発作」として入院された幼稚園くらいの年齢の子供さんが、無熱時にもけいれん重積発作を起こし、「てんかん」と診断がついた症例、嘔吐下痢症で入院した子供が突然けいれんを起こした症例も経験した。今はロタウイルス脳症、あるいはノロウイルス脳症として教科書に載っているが、そのころの教科書には載っていなかったように記憶している。でも指導医の先生は

「よくあることだよ」

とおっしゃっていて、小児科医の間では常識だったのだろう。またRSV感染症でICU管理となったbabyちゃんに細いNGチューブを挿入してミルクを注入、細い橈骨動脈から血液ガスを取ったりしたことも覚えている。2ヶ月間は短かったが、とても勉強になった。九田記念病院の同期の一人は、ここでの後期研修を希望し、たぶん今では立派な小児科医になっているであろう。


 ただ残念なことは、私が基本的に不器用なので、点滴路の確保があまり上手ではなく、2ヶ月間であまりうまくならなかったことである(肘正中皮静脈からの採血はあまり失敗しなくなった)。明らかに手技については器用・不器用がはっきりしていて、改めて自分の不器用さを恨めしく思った。


 2か月間、休むことなく、遅刻もすることなく、朝5:00に起床して、夜23時くらいに帰る、という生活を続けられたことはよく頑張ったな、と思う。そして、ついに初期研修を修了となったのである。


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