第44話 このあたりの記憶が定かではない。

 金谷病院から帰ってきて、残りの選択科である放射線科と整形外科に各1ヶ月ずつお世話になったはずなのだが、以前にも書いたように、どちらも1か月間研修していると、計算が合わない。しかしどちらも1か月間お世話になったと記憶している。ずいぶん昔のことなのでわからなくなっていることも多い(認知症??)が、ご承知いただきたい。


 放射線科の研修では、まず頭部CTの読影練習から始まった。トレーニング用のCD-ROMに確か100人近くの画像が入っており、それを読影して、部長に提出、写真を見直しながら添削してもらう。放射線科は部長と、部員1名の2人体制で読影業務を中心に仕事をされており、部長はたくさん飛んでくる画像の読影と並行で私の指導もしていただき、大変お忙しかったことだと思う。時にIVRの依頼があり(部長は本当はIVRの専門家)、喀血の方の気管支動脈塞栓術や消化管AVMからの出血に対するIVRを行なっていた。HCCに対するTACEは、肝臓外科と放射線科合同で行なっていたように記憶している。脳動脈瘤のコイリングは脳神経外科が単独で行なっていたように記憶しているが、カテーテルを使った4-vessel studyにも参加したような記憶がある。

 脳の読影100本ノックが終わると急性腹症の100本ノックがそれに続いた。単純CTだけでなく、造影CTも含め、当院での興味深い症例100例をまた読影し、指導してもらう。


 胸部のCTの読影は難しく、肺のmicro-anatomyの理解、様々な疾患の病態の理解も必要なので、1ヶ月の期間ではとても足りなく、十分には勉強できていない。ここは恥ずかしいところである。


 整形外科では、多くの時間を手術室で過ごした。もちろん外来研修もあったのだが、今のような「何でも内科」として働くのであれば、手術室の引っ張り要員になるよりも、もっと外来で、ギプスの巻き方、適切な固定の仕方、肩関節脱臼の整復、関節注射法などを学んだ方がよかったのかもしれない、とちょっともったいないことをしたと思っている。


 学年が上がるとERで当直していても、整形外科の患者さんは、整形外科の後期研修医である後輩が

 「保谷先生、僕診ておきますよ」

と気を遣って、患者さんを診てくれる。逆に積極的に後輩に教えを請わないとできないままである。その点で、私はせっかくの機会をたくさん逃してしまったなぁ、と反省している。

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