ノックの音がした、だが…

流僕

BAR開店!!

ノックの音がした。



このBAR開店以来初めての客だ。


そう思い、ドアを開けるとそこには誰もいなかった。




聞き間違えかなと思いドアを閉めると


また、ノックの音がした。


急いでドアを開けた。


しかし、誰もいなかった。




首をかしげ、ドアを閉めると


それを待っていたかのように


また、ノックの音がした。




しかし、今度はドアが開けられることはなかった。




数分後、またノックの音がした。


しかし、ドアが開く気配はない




焦ったように2度続けてノックの音がした。


しかし、ドアは開かれない。




ノックの音は続いた。


しかし、一向にドアは開かれない。




たまり兼ねてドアを開けると、





そこには誰もいなかった。






はぁ、いつまでこの遊びを続けていればいいんだ。


その人は一人ため息をついた。




この星の生命体のほとんどが絶滅した今、


運よく生き残ったその人は、


いつの日か自分以外の生き残った人間がこの店に来るのではないかと思い、


その時に向けて自ら客になりきってドアをノックし、


マスターになりきってドアを開ける遊びを繰り返していた。






ほらまた、ノックの音が…

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ノックの音がした、だが… 流僕 @Ryu-boku

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