最終話 青磁色、レグホーン
目を覚ました、というよりも、永い考えごとから解放されたような心地だった。
高く登った太陽は樫の葉に遮られ、穏やかな彩度に満ちた木陰が広がっている。
「拓海、起きて」
隣で寝そべる恋人に声をかけるも「んん、」と低い唸り声の返事をするばかりで、まぶたは閉じたまま息遣いに合わせて上下する。
彼の胸にそっと耳をあて、すぐに身体を起こした。握られていた手に力が篭もったが、目を覚ましたわけではないらしかった。
わたしは木陰が美しく揺らめくのをじっと見つめる。鮮やかな緑と、力強い風の音、子供の遊ぶ声。記憶よりもいくか綻んだ街。
「また来るね」
あの木陰にはユウレイが住んでる 七屋 糸 @stringsichiya
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