学年一の美少女は死にたい

さい

第1話

 ふと、こんな会話が耳に入る──。


「なぁ、知ってるか白崎さん……」

「ああ、知ってるよ、つーか知らない人いないだろ。あんな美少女……」

「いや、それだけじゃないんだよなぁ〜。やっぱり、美少女だもん勉強の方もな」

「やっぱり、白崎さんはすげーよ」


 ふと、こんな会話が耳に入る──。


「知ってるかぁ? 今回のテストまた白崎さん校内ランキング一位だとよ」

「そのくらい当たり前だろ、全国模試一位なんだからよ」

「すごいわやっぱり、白崎さんは」


 ふと、こんな会話が耳に入る──。


「香澄さん今日も告られてたらしいよ」

「え〜まじぃ〜」

「うん。皐月が見たらしいよ」

「で、どうだった……?」

「かなりのイケメンだったらしいけどダメだったとか……」

「え〜イケメンを振るとかやっぱり、香澄さんは生きている次元が違うよね〜」


 すごい、すごい、すごい、すごい、すごい、すごい、すごい、すごい、すごい、すごい、すごい、すごい、すごい、すごい。


 私の頭の中にはその言葉が駆け巡る──。


 やめて……やめて……。


 あ〜いつからだろうか……生きるのが辛い。

 こんなに死にたいと思ったことは──。



「じゃあね、香澄ちゃんはこれから勉強?」


 そう私に問いかけるのは陽キャでイケイケなグループメンバーの一人だ。


 その言葉に私は作り笑顔をして「そうだよ……」と答えた。


「そっか〜うちらと遊びたい時は言ってよな!!」

「う、うん……」


 そして、ニコッと笑うとその人はもう一人の女子と去っていった──。


 笑顔で見送り、姿が見えなくなると私は虚な目をしてスクールバッグに今日勉強する教材を入れる。


 国語、数学、英語、化学、国語、数学、英語、化学、国語、数学、英語、化学、国語、数学、英語、化学、国語、数学、英語、化学、国語、数学、英語、化学、国語、数学、英語、化学。


 支度が整うと私はまず最初に私は屋上へと向かった──。


「白崎さんマジですげよ」

「早く告れよ」

「いや、無理だろ……」


 廊下を歩いているとそんな会話がふと、耳に入る──。


 日常茶飯のことだ。

 私はそんな話無視して歩き始める。


 そして、屋上に着くと私は走ってすぐさま落ちるギリギリまで走った──。


 ほんとはそのまま落ちたかった──。


 でも、足が震えた。

 死ぬのが怖い。

 いつもここで止まってしまう──。

 あと一歩なのに……。


 ここから落ちたら死ねる。

 楽になる。

 でも、死ぬのが怖いんだ。

 死ぬっていたいの?

 死んだら親は?


 私は昔からいろんな人からチヤホヤされていた。

 『白崎香澄はすごい人』そんなイメージをつけられていた。

 そのせいで、私はほんとの私を出せなくなっていた……。

 その結果がこれだ。

 人に期待され、人に尊敬され、気づけば私という存在は私ではなくなっていた。

 ただただ作られた私になっていた──。

 『白崎香澄ならなんでも一位』

 だから、私は毎日自習を平日は七時間休みの日は十五時間やっている。

 そうしなければ、みんなの理想の自分になれないからだ。

 運動においてもだ。

 毎朝五時から七時まで走る──。

 みんなが知っている『白崎香澄』は私ではない……みんなによって作られた私なのだ。

 

 死にたい、死にたい、死にたい、死にたい、死にたい、死にたい、死にたい、死にたい、死にたい、死にたい、死にたい。


 早く死んで楽になりたい──。


 もう嫌だ……自分でいたい……ただそれだけなのに。

 みんなができていることがなんで私だけはできないの……?


 世の中は不公平だ。

 普通の生活がしたい私が普通に生きられないこんな世の中が憎い。

 なんで、私はこんな顔で産まれてきてしまったのだろう……つらい、つらい、つらい。

 とにかくつらい。

 全てを捨てて楽になりたい。


 『イケメン』としか付き合えないとかそういうのはいらない。

 私はただただ普通の人と普通に付き合いたい。

 それなのに周りはそれを許してくれない……。


 そう思うと突如、目からは大粒の涙が流れだす──。


「なんで、なんで、なんでよ……」


 ただ普通に生きたいだけなのに……なんでよ?


 普通でいたいよ……普通の友達作って普通の恋愛して普通に友達勉強して。

 普通にたまに低い点数取って、悔しがって……普通に運動して。

 普通に友達と遊びたいよ……。


 『普通が嫌い』という人の気持ちがわからない。

 なんで普通が嫌いなの?

 素晴らしいじゃん……。


「いいよなぁ……普通に生きてる人はさ……苦労しないでさ」


 あ〜死にたいよ……。


 死にたい、死にたい、死にたい、、死にたい、死にたい、、死にたい、死にたい、、死にたい、死にたい、、死にたい、死にたい、、死にたい、死にたい、、死にたい、死にたい、、死にたい、死にたい、、死にたい、死にたい、、死にたい、死にたい、、死にたい、死にたい、死にたい、死にたい。


 その言葉とともに勢いよく風が吹いた──。


 次生まれ変わるなら普通の生活ができる人間にしてください……。


「あ……」


 それと共に私は足を崩す──。


 私はニヤリと笑い言った──。


「やっと死ねた」

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