Act.06:探検者レベルを上げよう
「えっと通貨は……
「
そう。
手持ち……と言うかインベントリーメニューの中に入っていた資源を納品すると、何と言う事でしょう。この宇宙探検者証明書の中にお金がチャージされたのだ。
……電子マネーかよ。
因みに各地にある銀行で現金化する事も可能みたいだ。とはいえ、基本的には皆この状態で使うらしいけどね。まさか証明書が電子マネーカードになるとは思わなんだ。
……だから、必須記入項目が少ないのにスキャンだとか結構厳重なのか。なるほど、これは確かに悪用される可能性はあるな。
今回の依頼で得た報酬は10万C。地球で10万円って言うのは結構高額なのだが……どの依頼も最低金額が5万C以上だったので、どうなんだろうか?
「他にも受けて行きますか?」
「うーん」
今回の依頼達成で、探検者レベルのゲージが半分くらい上昇したので、2になるにはもう一個依頼を受ければ良いのかな? なら受けるべきかな?
「このゲージの上がり方を見る感じだと、あと一回依頼やれば上がりそうだな」
「確かにそうかもしれませんね。丁度良いものとか探してみます?」
「そうするかあ」
再び端末を覗き込む。
アストラルも僕のすぐ隣に立ち、一緒に端末を見る。依頼数は結構多いけど……まあ、一番手っ取り早いのはやっぱりさっきの依頼と同じような納品系かな? 僕の持っている物ならすぐに終わらせられるし。
「これとかどうですか?」
「どれどれ」
アストラルが見つけた依頼を見てみる。
僕と考えが同じなのかそれは分からないが、その依頼は納品系のものだった。ついさっき僕も、納品系ならすぐ終わるかなと思っていたからね。
「これも鉱石なのか」
「そうですね。こっちは、プラチナをご所望の様ですよ」
「一種類だけだからか、要求数も結構多いね。まあ、余裕はあるけど」
知っての通り、SFAは僕なりにやり込んでいた。ガチ勢……ではなく、エンジョイ勢のつもりだ。ガチ勢たちはもっとやばいと思うよ? まあ、アバターガチ勢とか言われたら否定出来ないかもしれないけど。
でだ。鉱石とか、それを元に出来るインゴットとかそう言うのは重要な資源なのである。いくらあっても困らないくらい、あらゆる場面において使われたりする。なので、僕はかなりの数をストックしているのだ。
それはもう、桁が他のものより2つくらい違ったりしている。宇宙船の修理とか、実弾の補充とか……そう言った時にもインゴットは大活躍する訳だ。
インゴットの使用が増えれば当然、その元になる鉱石だって増える訳だよ。どっちかと言うと、鉱石と言うよりはインゴットの方が需要が高いか? どの道、元は鉱石なので変わらないだろうが。
鉱石もストックしていれば、インゴットもストックしている。今見ている依頼はプラチナの鉱石の方が欲しいとの事なので、そっちを用意するか。
「またあっさり終わっちゃったよ」
流石SFなのか、謎技術で転送マシンが作られており、これに物を入れれば勝手に協会に転送され、そこから依頼主の手に渡るようなシステムになっているようだ。
ここで言う協会と言うのは、今僕が居る無人の場所ではなく有人の場所で、依頼を請け負った協会に転送される訳だ。因みに、無人の協会で依頼は出せないみたい。
あくまでこの無人の協会は
「報酬は20万C……さっきの四種類の納品より高いな」
「プラチナですからね。金よりも希少ですし、納品数も多いですから」
納品対象を転送し、報酬を受け取る……と言ってもカードにチャージされるだけなんだけどね。これで今の僕の所持金は30万Cになった。これがどれだけの価値と言うかお金なのかはイマイチ分からないけどさ。
「あ、上がりましたね」
「ほんとだ」
少しすると依頼の達成が反映されたのか、ゲージが空になり探検者レベルの所が1から2に変化していた。やっぱりあと一つで済んだみたいだ。
「さて、これでレベルも2になりましたし、どうしますか?」
「そうだな……丁度良いし、ここで何か食べてから宇宙船に戻ろうかな」
「なるほど! 初めての外食って奴ですね!
「一応、そうなるのかな?」
宇宙空間に居るから時間間隔とか結構狂うんだよね。
ワープ自体はほんの数分で済むけど、普通に宇宙空間に居る間はどんな風に時間が過ぎているのか分からない。もしかしたらもう、地球で言う一日とか二日とか過ぎているかもしれないし。
体感ではそんなかかっているように感じはしないんだけどね。知っての通り僕が居るのは宇宙なので、地球での常識と言うか知識は恐らくあまり役には立たない。
ただお腹が空くとか、そう言った感じが今の所ないのだ。かといってお腹がいっぱいで何も入らないと言った感じでもない。
一日も経過していないのだろうか? でも、宇宙だしなあ……取り敢えず、お腹は空いていないし、お腹がいっぱいと言う訳でもないので、実験? がてらこの宇宙ステーションにある飲食店で何かを食べてみようかな。
どんな感じなのか気になるしね。アストラルが前に言ったように、宇宙船内で自給自足が確立しているので、正直こう言った所でわざわざ食べる必要はないのだが。
とは言え、まだその自給自足で作られた食事を食べた事はないが。だってお腹空いてなかったし……。
取り敢えず、ここから移動するか。僕はアストラルと手を繋ぎ、そのまま無人の協会を後にするのだった。
◇◇◇◇◇◇◇◇◇
「うん……普通のラーメンだな」
場所が変わり、宇宙船の発着場近くにあるお店が並んでいる所に僕らは戻って来ていた。協会を探している途中にも通ったけど、ここはやっぱりフードコートみたいな感じになっているな。そしてそこそこの人が座ったり並んだりしている様子。
そして今僕とアストラルが座っている二人席のテーブルには、一番無難そうなラーメンが置かれている。少しお高めのチャーシュー麺と言うやつだ。アストラルも同じものを頼んでいる。
最初、アストラルは別に食べなくても問題無いですとは言っていたけど、流石にあれなので一緒に食べるように命令と言うかお願いと言うかそれをしたら、素直に従ってくれた。
このラーメンのお値段、1200C……わお。
大体ラーメンって高くても1000円以下な気がするのだが、ここのラーメンは全部普通に1000を超えていた。こういう場所のメニューは確かに基本割高なのだが、それでも高い気がしたんだけど、他のお店を見たらそんな事はなかった。
他のお店も同じようにそれなりのお値段で、ラーメンだけではないと言う事は分かった。ほとんどメインメニュー系は四桁のお値段だったんだよね。
こうなると、考えられるのがこれが基本的な物価と言う事なのだが、如何せん情報が少ないし、確信は出来ない。でもこれが普通の物価であるのであれば、地球価格の約二倍くらいと言う事になるな。
値段を半分にすれば、地球で良く見るくらいの値段になるからね。物価については、アストラルに聞けば早いかな? 後で聞いてみる事にするか。
でだ。
そんなチャーシュー麺なのだが、実際食べてみるとこれがまた普通に美味しかった。食レポみたいな大層な事は出来ないが、それでも美味しいと素直に思えるくらいだ。
「マスター、これ美味しいですね!」
どうやらアストラルも満足の様子。
一応、コアとは言っているけど、味覚はちゃんとあるみたいだ。まあ、見た目は本当に人間にしか見えないし……人間だって言われても何も知らなかったら普通に信じるだろうなあ。
そんなこんなどうでも良い事を考えながら、僕らはチャーシュー麺を食べ進めるのだった。
【更新停止】TSロリ少女の宇宙紀行 月夜るな @GRS790
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