張り巡らされた伏線。その点たちが、読み進むほどに整然と並んでゆき、やがて一本の線へと成るさまは幾度読み返してもわたしに高揚感を与えては、なんとも楽しい気持にさせてくれる。
加えて、主人公である鶫を中心として起こる、群像劇のようなすれ違いはなんともはらはらさせられ、次へ次へと指が操られていくも、これが堪らない。
丁寧かつ着実に、されど間延びはしすぎない。綺麗に纏まった物語。
語りたいことは無尽蔵なほどにある。が、まずはほんの数話だけでも読んでいただきたい。
題跋〜つとに読んでいた作品であるが、やはり的確に表現することには『素晴らしい』が最も適当だと甚く感じた。
わたしが読んできた中でも十指に数えてなんら問題はなく、誰にでも薦められる作品であると躊躇いなく言い切ることができる。