ゆきうさぎを作ったんだ。

入院してるおかあさんへのプレゼント。


たったひとりの

ぼくの家族へのプレゼント。


よろこんで、ほしくて、

かわいく、作りたくて。


てぶくろをしてる手が冷たくなるほど、

ゆきうさぎは元気になった。


ぼくの手が温かくなるほど、

ゆきうさぎは涙を流すように

溶けてちいさくなっていく。


おかあさんはいつも疲れてた。

でも、ぼくはおかあさんが居たから元気だった。


いまは、おかあさんはお医者さん達に沢山温められている。

けれど、ぼくは

さみしくて、ちいさくなってないている。


「ぼくとゆきうさぎに似てるね。」

ぼくは今にもなくなりそうな、ゆきうさぎを

よわよわしい手でにぎった。


電話が鳴った。

ぼくは、ゆきうさぎをにぎりしめたまま、

もしもし、とでんわをとった。


「そんな、おかあさんがですか!うそだ、おかあさんが!」


何がぼくとゆきうさぎは似てるね、だよ。

ほんとうに、ゆきうさぎと似ていたのは。


ゆきうさぎはもう、溶けてなくなってしまった。

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