*
ゆきうさぎを作ったんだ。
入院してるおかあさんへのプレゼント。
たったひとりの
ぼくの家族へのプレゼント。
よろこんで、ほしくて、
かわいく、作りたくて。
てぶくろをしてる手が冷たくなるほど、
ゆきうさぎは元気になった。
ぼくの手が温かくなるほど、
ゆきうさぎは涙を流すように
溶けてちいさくなっていく。
おかあさんはいつも疲れてた。
でも、ぼくはおかあさんが居たから元気だった。
いまは、おかあさんはお医者さん達に沢山温められている。
けれど、ぼくは
さみしくて、ちいさくなってないている。
「ぼくとゆきうさぎに似てるね。」
ぼくは今にもなくなりそうな、ゆきうさぎを
よわよわしい手でにぎった。
電話が鳴った。
ぼくは、ゆきうさぎをにぎりしめたまま、
もしもし、とでんわをとった。
「そんな、おかあさんがですか!うそだ、おかあさんが!」
何がぼくとゆきうさぎは似てるね、だよ。
ほんとうに、ゆきうさぎと似ていたのは。
ゆきうさぎはもう、溶けてなくなってしまった。
ショートショートストーリーズ 雪。 @konayuki_haku
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