冒頭から作者の目の付け所に驚きとともに圧倒される。八百万の神々や付喪神といった風土を持つのもあって、不思議さを伴いながらも、決して違和感がない。「一寸の虫にも五分の魂」を彷彿とさせ、今こうしてレビューを書く際のタイピングも、自然と優しくなるような身近にあって、私たちの知らない物語。主人公の可能性は万物に与えられたという希望も本作にはある。