この作品は田崎結菜という、どこにでもいそうな普通の女の子のお話です。どこにでもいそうな中学生の女の子のありふれた日常が描写されます。だからこそ、その身に起こる理不尽さが生々しくリアルに感じられるのでしょう。「田崎結菜はもういない」話はそれだけ。それだけの話を、胸をえぐられたような気持ちにさせる作者様の文章構成力に脱帽です。
サクサクと話が進んでいく中で、その人のなんでもない日常がクローズアップされていき、最後はシンプルに、ぽんと音を立てるように情景がぼやけていく感じがリアルでした.....実際死に際なんて美化されるほどドラマティックじゃないよね。