訳あって女子の格好をさせられている少年と、その幼なじみの少年が、学校をサボってふたりで旅をするお話。
少年同士の友情を描いた、現代もののドラマです。
あえてちょっと大仰な言い方をするなら、儀礼的な旅を経ることで、互いの友情を確認し合い、また抱えていた問題を乗り越える成長の物語。とどのつまりはジュブナイルであり、その真っ直ぐな空気感がたまらないお話でした。
青春物語、特に少年の友情はいいものだ……。
「いじめ」というモチーフが好きです。
シビアな現実をど真ん中に持ってきて、誤魔化さずに真っ直ぐ書いてみせる、その姿勢の骨太さ。
読んでいて胸が苦しくなる反面、それだけの答えを用意しているというか、「そのしんどさを避けては成り立たない物語」をやり切ってくれるところが素敵でした。
もちろんこの物語の終わりかたというか、最終的に辿り着く帰着点そのものも。
しっかり前向きな形で終わってくれるのが嬉しい、素敵な成長と友情の物語でした。