第97話 新作ラノベを書くための気持ちの整理―― 7歳の幽霊の女の子


 ――あたしは小学生の頃に、田舎でしばらく暮らしていた時期があった。

 よく言うところの、親の都合で引っ越してきました。

 今日からこちらの学校で、よろしくお願いします。(ペコリ……)という転校生エピソードを、あたしは小学生の時に経験している。


 ある日の夜……。家族全員が、いつも、食事をみんなで食べる部屋に集まっていた。

 そんな中、あたしは自分の部屋に戻ろうとして、で、いきなり! 


 びっくりだった!!


 白い姿の女の子が、立ってこっちを見つめていた。

 推定年齢7歳の幽霊である。

 そんでもって、……そのままスーッと、あたしの方へと近づいて来て!!! 


 あっ! 襲われる。


 霊界に連れていかれるんだ。と、直感。

 だから、あたし、とーぜん部屋を出た!!! (しかも、泣きじゃくりながら)


 あの幽霊は何者だったのだろう? 




       *




 ――これは一つの仮説である。


 幼い頃に親から虐待されてきたとしよう。

 その時に、子供はその環境から逃げられないのである。

 親の言うことを聞かなければ生存できない。

 この時に、その子供の脳は、自分がダメだから叱られていると思い、親からの虐待を愛情なのだと自己正当化させる。

 それで、子供が正常に生育するわけがない。

 それは、愛情なんかじゃない。


 支配である。


 花々に適度に水をあげて、土を手入れして太陽の適度の光や、風雨から守ってあげてこそ、花々は開花する。

 あたしは、愛情とはそういうものだと思うのである。この人達は『脳が幼児』なのである。


 問題なのは、本気で相手を無意識に見下していることだ。

 気がついていない。

 何が問題なのかが分かっていない。


 じゃあ、あたしが教えてあげます――


 とあるRPGで結構強敵のモンスターから、エリクサーのアイテムをゲットすることができたとしよう。

 キャラクターたちはこれに味をしめて、そのモンスターを狩場で倒し続けている。

 けれど、いつまで倒してもエリクサーが手に入らない。

 更には、結構強敵だからキャラクターたちは疲弊し続けていく。


 でも、それでも止めようとしない。


 ……なぜなら、そのエリクサーはレアアイテムだから。

 滅多に手に入らないのが当たり前なのだ。


 いつまでも、こだわり続けている自分が間違っている。

 だから、さっさとストーリーを続けた方がいい。


 そのうちエリクサーを、どこかの宝箱でゲットできるのだから……。




       *




 ハッピーバースデーを越えた、あたし。

 ……あたしも、年相応に生きていかなければいけないと、最近、つくづく思っている。

 若くないし……。こんなこと思いたくないけれど、事実そうなのだ。


 難しいのだけれどね……。

 隣の芝生は青く見える……。

 あたしも、ああいう人生だったらって、この頃、よく思うようになったっけ?


 本当に――




       *




 ――記憶が人を動かす。


 それは幼い頃の思い出からはじまる。

 今まで生きてきて膨大な記憶があたしの脳に入っている。

 ……中には思い出したくない記憶もある。

 あたしにも幼少期の両親たちとの関係とか、友達との出来事とか、あたしが思い出せない無意識の中に必ず保存されているはずだ。

 その思い出したくない記憶が、ある時、ふと蘇る。

 蘇って意識化されてしまう時がある。


 田舎で出逢った7歳の時の女の子の幽霊のように……君もあたしに前に現れて、……なんだったのかな?

 どうして現れて、すぐに消えたのかな? 

 もしかしたら?? 


 ……う~ん、わかんないや。


 あの幽霊は、もしかしたら守護霊は、7歳の女の子の幽霊は、

 もう一度、生き返りたいと思ったことがあるのかな?


 幽霊……



 あの子の名前はなんなのだろう?

 わかるわけがないよね。

 あたしが。


 事実として知らないし……。





 続く


 この物語は、ジャンヌ・ダルクのエピソードを参考にしたフィクションです。

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