第94話 新子友花は受賞しました…… 後編
今回の話も番外編です。
新作ラノベを試行錯誤する新子友花が何を思ったのか?
欲望丸出しのラノベを書いてしまった……という
その続きを……
「ところでお前は、どんな魔法を唱えたいんだ?」
頬杖継続中だったユウタ君は、ゲージがマックスになったのか?
頬杖を止めて姿勢を正しました。
先生が部室に入ってきたからというのも、ありますか?
「だから、んもー!! って、お前って言うなって」
「トモカさん。それで、魔法を唱えた感想は?」
先生も、いけずですね。
「……そのっ」
突如、指をツンツンするトモカさん。
しぶしぶと……
「その……、メ……」
「めっ?」
「メッ?? ですか?」
「……メテオガの魔法です」
「メテオガですか??」
ユウタ君とサクラ先生、声を揃えて驚きました。
「ん……、んもー!!」
トモカさんが、意味不明に恥辱有頂天?
振り上げていた拳を(えっ、ずっとそのポーズのままだったの)今度は、真下にグーにしておろしました。
「だから! メテオガで!! ……なんか気に入らないCIAとNSAと、ついでにホワイトハウスに隕石落とせー!! という魔法を唱えました。ど……」
「ど?」
「ど……?? ですか?」
「……どーでしょーか? あたしのメテオガの魔法は」
何を言い出すかと思えばトモカさん……、もしかしたら自分で放った(言い放った)魔法の威力を度外視して発動しちゃったのか?
「おい、それって魔法じゃなくて自然災害じゃん! そんでもって、メテオガって微妙にFFじゃん。えっ? そんなことできるのか、魔女って。というより、唱える途中だったじゃん!」
魔女に、そんなこと……できませんじゃん!!
どーせバレないし……。言いたい放題書きまくって、後は知らんぷりとかね……。
じゃあ、魔女の代わりに作者が言おうか?
『ぶっちゃけ、核ミサイル発射ですね……』
あーあ、しーらないんだ。
こんなことになるなんて思わなかった。
こんなに怒るなんて思わなかった。
それは、あなたの都合ですよね?
『どいつもこいつも、魔女が元魔女に落ち着いても世界はこのザマだ。 自由の女神もロンドン橋も餃子とプーアル茶セットも、み~んな! 皆既日食並みに黙っとけ!!』
とまあ。本音はこれくらいに……?
「ふふっ。トモカさん、いいですか?」
ほら! サクラ先生が呆れて君に、小言タイムが始まるぞ。
だめだよ、例え嫌なことがあっても、そういうことを軽々しく言っちゃーね。
「いいですか。……異世界に住む人にとっては、その異世界こそが現実世界なのですよ。異世界、異世界って、まるで他民族を異人と言っているようなものですね。そこを考えましょうか!」
サクラ先生は小言を言い続けながら、自分の席へと座ります。
「トモカさんは、異世界を魔法で壊そうと考えました。けれど、壊される側の異世界の住人には、なす
サクラ先生の席は、教卓の隣に移動しましたよ。
「……」
先生はじーっと、しっかりと彼女の眼を見つめて、こう言ったのでした。
「ここが魔法で、人を救えるのか否かの分岐点です。ターニングポイントですよ」
微笑みを、サクラ先生はいつものようにつくってくれた。
「……こんな話があります。正義の味方は味方をしているだけであって、決して正義そのものではない。転じて、魔法を使わなければ、トモカさんも……あなたは、普通の人間だということですよ。いいですか? トモカさん。トモカさんの思うできる限りの正しい魔法を使ってください。それは、とても制御が難しいのかもしれませんね。先生にも、勿論、不可能でしょう。だけどね。トモカさんには……できるのだと確信していますからね」
――サクラ先生は言い終わると、いつものようにニコッと笑顔になりました。
「は、はい……、サクラ先生。……あたし、なんとなくだけど、わかりました」
なんだか、少し考えさせられたトモカさんでしたと……さ。
*
正しい魔法――
でも、それって一体どういうものなのでしょうか?
魔法なんて、一度も唱えたことがないあたしにとっては(RPGとか復活の呪文は、唱えたことあります)正直言って、よく分かりません。
魔女と人間と……、兎と亀は、友達にはなれないのだと思います。
かけっこするスピードも違います。だいたい、哺乳類と爬虫類ですし。
兎は兎と、亀は亀と仲良くすることしかできないのだと思います。
キ〇も魔女修行で、人には言えないとてつもない苦労をしたことだと、あたしは思います。
まさに、『落ち込んだこともあるけれど、私は元気です。』そのままだと思うのです。
魔法が使えなくなった魔女なんて……、ただの女の子だ。
「……ふふっ! でもね、ぶっちゃけ横田基地にメテオガしちゃっても、先生は問題ありませんからね……。ほんと、あいつらって……」
何かあったんですか? サクラ先生??
「ああ、ついでに、この聖ジャンヌ・ブレアル学園もしかりですね」
「ああ……先生、そんなこと仰らないでください」
と、トモカさんは言いましたとさ――
更に――、
「ああ聖人ジャンヌ・ダルクさま! お許しください!! あたしが魔法を使ったせいで、いやいや寸止めですんだから問題ないのかも??」
本日も異世界だけに、この小説は何でもありですよ♡
めでたし、めでたし……。
新子友花のストレス解消ラノベでした。
続く
この物語は、ジャンヌ・ダルクのエピソードを参考にしたフィクションです。
異世界も魔女もフィクションです。
どんなに試行錯誤してもメテオガの魔法は使えません。
ホウキにまたがっても空は飛べませんからね……。
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