瑠璃川絵恋(るりかわえれん)

クソビッチ。


それが私につけられたあだ名。


男を取っ替え引っ替えだった私は、中学の頃、友達がいなかった。


初めての彼氏は中学一年生の5月。


相手の一目惚れで、一ヶ月だけ付き合った。


次の彼氏は三年生のサッカー部の先輩。


その先輩は女子からすごい人気だった。


初体験もその人だった。


まぁ、二ヶ月弱で別れたけど。


その次は、学年一のイケメンくんと。


二週間。


その次は二年の頭の良い先輩。


三日。


その次は生徒会長。


同時に教師とも付き合ってたけど。


二人とも二ヶ月半。


そうやって、告白されるたびに誰かと付き合った。


私の見た目しか見ていない人たちと。


でも、そんなことを繰り返していたら、入学してから半年が経った頃には、

私の周りには欲望丸出しの男たちしかいなくなっていた。


当たり前だった。


だけど私だって好きで、彼氏を作ってたわけじゃない。


私はただ知りたかっただけ。


人を好きになるってどいうことなのか。


私を好きだという人たちと付き合えば、何かわかると思っていた。


恋がどんなものなのか。


好きってどいうことなのか。


愛されるってなんなのか・・・。


家族が無理なら、せめて私を好きだと言ってくれる他人に教えて欲しかった。


恋を、好きを、愛を。


でも、無理だった。


私の見た目で寄ってくる人たちと付き合ったところで、実感できるのは

体の繋がりだけ。


心まで繋がることはできない。


見た目がいい私と付き合えば、周りに自慢できる。


自分の株が上がる。


所詮私はお飾りの彼女で、都合のいい女。


愛を知るために付き合ったはずなのに、結局また自分が傷付いただけだった。


だからもう変に期待するのはやめた。


どうせ、私は愛されない。


なら、寄ってくる奴らと付き合う必要もない。


誰にも頼らなければいい。


恋なんか信じない。


私一人で生きていけるように、私は強くなることを決めた。


幸い、高校で私を知る人はいない。


もう、クソビッチなんか呼ばせない。


大丈夫、私は強い。






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数のぶんだけ色がある 〜私は私で僕は僕。私たちが私たちであるために。〜 月野木 星奈 @kouyou-yuki93

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