3 The way home

 嫌な恐怖が残る中、私は学校を出て帰路についた。いつもより少し遅い帰りだからか、辺りは暗いように感じられる。きっとしっかり比べてみれば本当はあまり変わらないのだろうけれど、どうしてだろう、深夜に独りで出歩いているような気分だった。何故かふわふわと浮いている心と、その周りに少しの恐怖と違和感。きっとさっきのアレのせい。

 柔らかな風を受けてふわりと揺れる髪、茜色の空に照らされてフィルターがかかったような視界、それからローファーの奏でる足音。日常の中にいるはずなのに、どうしても非日常が差し込んでいるような勘違いに導かれている。何となく、嫌な予感が腹の底に横たわっているような気がするのだ。

 私の通っている学校から家までは遠くない。友人たちはみんな電車を数駅ほど乗って、さらに乗り換えを何度かしてはるばるやってくるらしいが、私は家から徒歩で登校できるのだ。それも徒歩二十分という、友人らと比べるとまさに最高の位置関係。まあ、そのせいで友人たちと一緒に帰ることができないのは少し悲しいのだが。

 学校から出てきて五分ほど経った頃、私のものではない足音が聞こえ始めた。いや、私が気付いたのがそのタイミングだったというだけで、もしかしたらもっとずっと前からそこに誰かがいたのかもしれない。恐怖に足がすくむ。

 見てしまった夢のような結末が待っているのだとしたら、私はどうしたら良いのだろうか。この運命から逃れる方法は、あるのだろうか――。



走る→4へ『Run away』

https://kakuyomu.jp/works/16816700426841578850/episodes/16816700426842454740


止まる→5へ『Behind』

https://kakuyomu.jp/works/16816700426841578850/episodes/16816700426842550266

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