2 Who?
生まれてこの方、一度も貧血を起こしたことがなかったのに急に倒れるだなんて、少しおかしい気がする。血が足りないと思ったことも、献血で止められたこともなかったのに。それなのに私が倒れたのは、きっと貧血が理由なんかではない。それだけは何故か確信していた。
そういえば、少し前から睡眠の質が悪くなったように思う。それは、今日みたいなおかしな夢を見て夜中に起きることが増えたからだとは思っているが、今日倒れてしまったのもそれに起因するのだろうか。確かに睡眠不足は人間の敵とも言えるのだろうけれど、それがこんなことまで引き起こしてしまうなんて……本当だろうか。
――そうだ。それに、今日の夢。
あれは何だったのだろう。昨日も一昨日も似たような夢を見た気がするが、今日みたいに彼が直接語りかけてくるのは初めてだった。霧の中に彼の影を見ているだけで、それでも恐怖が私を支配していて、そのせいで寝苦しくなって。目を覚ましてしまっていたのはそれが原因だった、ような気がする。如何せん寝ぼけているときの話だ、自信を持って言えるようなことは何一つない。
見覚えのあるような顔で、会話もしたことがあったような気もする。けれど彼との記憶はもっともっと深いところにしまってあるようで、全く思い出せない。彼の嘘くさい笑顔は、いつかのあの人に似ている。それが誰なのか思い出せたなら、少しはこの恐怖もなくなってくれるのだろうか。
まあ、今はとりあえず家に帰ろう。
帰る→3へ『The way home』
https://kakuyomu.jp/works/16816700426841578850/episodes/16816700426842321510
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます