とりあえずはこれで終わりです。(本当に)
俺の前から去ってしまった悠を追いかける。
白鯨がショッピングモールの監視カメラをハッキングしてくれたおかげで追いかけるのは容易だった。
「悠!!あれは、違うんだ。」
「量さん……。」
彼女の目には泣きはらしたような痕が残っており、目が充血している。
「聞いてくれ悠。俺は……」
言葉が出ない。
彼女に何を伝えるべきかがわからない。
合理的な説明?非合理な感情?
大切な人を傷つけてしまった時、どんな顔をすればいいのかだって教わらなかった。
けれど、悠がくれた物を必死に思い出して言葉を紡ぐ。
「量さんにとって、私って何ですか!?」
恋人ではないし。家族でもない。友達というには近すぎる。
「私、量さんの邪魔になってますよね?わざわざ追いかけさせて……。」
「そんなことはない!!俺は、君が大切で。」
「だったら余計にですよ!!私がいなければ、量さんは今まで通り生活できてた。」
非合理に飲まれたのは、悠が家に来てからだ。
彼女が「そっち側も怖くない」ということを教えてくれたから。
「俺は怖かった。自分の感情に潰されるのが怖かったんだ。」
「けど、君が、教えてくれた。」
優しさの温かさを。
我慢することの苦しさを。
誰かがそばにいてくれる安心感を。
「全部君が教えてくれたことだったんだ。」
「だから、あしでまといに……」
「枷なんかじゃない!!俺にとっては必要な重りなんだ。」
今まで背負っていた合理なんてものは、自分を縛り付ける鎖だった。けれど、彼女の存在は、鎖を外すカギになると同時に、新しく手に入れた宝物だった。
「何度でも言うぞ。ずっと俺のそばにいてほしい。俺は、もう君がいないとダメなんだ。」
「私、人を好きになったことなんかなくて……。重いかもしれませんよ?」
重くたっていい。のしかかってくれた方が、傍にいると実感できる。
手放してしまうより、よほどいい。
「帰ろう。俺たちの家に。」
「はい。」
ある日の昼下がり
「悠、今日のご飯なに?」
「今日はパエリアに挑戦してみました。それより、お仕事終わったんですか?」
俺は、相変わらずフリーのエンジニアを続けている。仕事の依頼も安定してきたところで、白鯨の力無しにも自分で仕事を取れるようになってきた。
悠はと言えば、通信高校の単位を順調にとっている所で、来年には、なんとか遅れることなく大学受験を出来るらしい。
「量さん、明日光たちと遊んでくるので、出前でも頼んでくださいね。」
「え、明日居ないの……?」
思わず顔を上げると、妖艶な笑みを浮かべる。
ゆっくりと俺のそばまでやってくると、顔を近づけ耳元で囁いた。
「寂しいですか?今日は一緒に寝ましょうね。」
「あ、ああ。ありがとう。」
すっかり彼女の手のひらに転がされてばかりだが、コレも悪くないだろう。
仕事もクビになった。無能だと謗られた。
けれど、不思議と辛さはない。
家に帰れば、可愛くて愛おしい、大切な悠が俺を癒してくれるから。
……to be continued
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
悠さん、最後の一言
「長らく、ありがとうございました。また、会える日を楽しみにしていますね!!」
??さん、これからへの一言
「さて、お前ら、金は好きか?スリルは好きか?」
「ならドラマティック・エデンに来るといい。全てがそろってる。」
自称有能プログラマーのワイ、ブラック上司から無能認定されクビを宣告されるもノーダメージ。家に帰れば巨乳美少女JKが全肯定してくれます!! 平光翠 @hiramitumidori
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