七面鳥の歌

鈴江さち

七面鳥の詩

出会ったとき、俺は気にもせず、うつむく君を知っていた。

こんな子が傍にいたら、とすら思わなかった。


でも気がつけば、いつの間にか笑顔でいて欲しいと思っていた。


もっともっとと思った時、気がつけばブレーキなんかとっくにきかなかった。


それがどんなに他人を傷つけても、ただ君の笑顔が全てだった。



怖くて、いつの間にか顔を背けたあの日、何かが消えて何かが生まれた。


自分が傷つくのが怖かっただけなのだと、逃げ出してからようやく知った。


泣けるだけ泣いた。なぜあの時勇気が出なかったのかと、自分のために泣き崩れた。


でも遠ざけたはずの君は、俺の夢をあの頃知っていた。


そこだけ信じて、ただ呟こう。



カッコ悪い自分を見せたくないと知りながら、それでもただ逃げた。


愛するために遠ざけるつもりで、ただ愛されたいと祈った。


追いかけてきて欲しいと、俺は君に願い、君を忘れるために、妥協した。



その妥協は、俺が頼ったフリでもいいから誰でもいいからと自棄になって、ただ君を忘れたくて人を愛するフリをした。


そのすれ違いのあと……


醒めない夢から醒めた夢を起きてまず知ったのは、君を、再び思い出してしまったという事実だけ。


打算でも壊れた愛だと知っていても、ただ……



心で裏切った今の君が、どう過ごしているのか今さら聞けない。


でも聞きたい。自分の情けなさに、また向き合ってなお逃げようしている。


でもカッコいい人は、そんな風に逃げない。


俺はただ、悪魔とも神とも手を組んででも、ただ君の傍に居たい。


この為だけの祈りのために、俺は生まれてきたと、ただ君に愛されたいと口に出すことの意味を、もう知っている。


この呪いのような自分勝手さを、誰に笑われてもどれだけの罰を負っても、地獄を知っても、それでも俺の決意は叶うのだという夢のためになら、君以外の全てに、刃を突き立て続ける覚悟。


今度こそ。



その時、砕け散ってもなお。

それが叶わぬ時、恨みはしない。後悔はある。


それでもきみが、ただ愛おしい。


願わくば、君にどんな過去があっても、この愛のために俺は、自分勝手にずっと君の心に触れたい。


逃げて裏切って打算で生きてなお祈るのは、君と歩ける未来があるのなら俺はもう何もいらないと、知っているから。


きみが、そうであると知っていてくれるなら、ただただ裸の心を、君が見せてくれ。

そして俺の覚悟の意味を知って欲しい。


例え君が天国に行き、俺が地獄に戻っても、君が天国で俺を忘れても、ただ貴女を愛してるから、この詩をただ、君に届けたい。


叶う夢だと、どれだけ怯えても俺はもう知っている。

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七面鳥の歌 鈴江さち @sachisuzue81

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