あとがき
2年目
私の社会人1年目は、この段階で終わりとなった。
いかにも中途半端で、小説にすれば駄作と評価されるような結末だが、現実なんてそんなものだ。
人生は連綿と続いていく。明確な区切りなど存在しない。どこかで言ったことだ。
ところで、私は相変わらず同じ会社に勤めている。
あれからも色々と問題があった。
新たな上司のうんざりするダメダメコールに発狂し、泣き出し、必要な時に働くことをコンセプトにするシフト制では、有給休暇を取ることなど不可能だと諦観し、例の手当が少ないのではないかと、本当に労働基準監督署を訪ねた。
そんな状況下で、私はなお辞めていない。
他人任せにするなと言いながら、私は未だにその呪縛から抜け出せずにいる。
やはり有言不実行。
そうやって、私は社会に埋もれていくのかもしれない。
そもそもこの話は、私の不満の捌け口であり、自身への警句とするために書き連ねたものであるが、これが活きるのはまだ先のことになりそうだ。
だが、この話を書いたおかげで、私は「あんな大人になるな」の呪縛からは解き放たれるだろう。
人間を高尚なものだと捉えていたのは、他ならぬ私自身だったのだ。
今ではそんなことは思っていない。人間とは実に愚かで下らない普通の生き物なのだ。
私もその一人なのだから、理想的な存在になれるわけはないし、社会の性質上なる必要もない。
それに気づけただけでも、私にとっては意味のある1年だったと言えるだろう。
私、ブラック企業に就職しました。 @Iwato_No
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