第2話 地獄の1日デート
「ねぇ、次の休みいつ?」
「ん? 今度の金曜かな?」
「おお。平日か。ラッキー」
「え? ラッキー」
「おしおきとしてラーメン店制覇で。これ決定っていたよね」
「えええええ? 無理だよ。
それって私もついてくの?」
「ラーメン専門なんだし、ほかの選択肢ないでしょう」
男性メインで構成されているから
マナーとか食べるスピードとか
合わなくていつも気まずい思いをしているのだ。
「うわー-! カロリーいくつなんだろ?」
「スタバで4つ頼むくらいのカロリーなんでね?」
「4つも。ありえないよ、太る」
「太った君も見てみたい可愛いかもだし」
何とかしないとおなかプニプニになってしまう。
回避しないと。
「じゃあ、じゃんけんで勝ったらスタバ。勝てなかったらラーメン付き合うよ」
「何条件つけて逃れようとしてんの? だーめ。ほかの男に媚びうらないの」
「売ってないし」
それでもじゃんけんに付き合ってくれる当たり優しい。
「「じゃーんけーんぽん」」
予想通りというかなんというか負けたのであります。
「味噌ラーメンと、しょうゆ、塩ラーメン、どれがいい?」
「しょうゆかな」
「じゃあおれみそ」
さすがラーメン店。こだわり麺類しか置いてないようで。
(せめてチャーハンがあれば)
私の胃はそこまで強くない。
こってりした濃厚なスープを残さないという鉄の掟のある場所もある。
そこでは私の胃は悲鳴を上げる。
「青くならないくていいよ。鉄の掟があるのは最初一軒だけだから」
(あるんですね。わかりました)
胃に余裕があればキャベツの千切りか、薄味のスープを作っておこう。
しばらくはお粥生活になるかもしれない。
彼の笑顔がちょっと怖い。
(眼鏡、もうちょっと度をあげれば見えるんじゃないかな)
その日の1日デートは過酷を極めた。
いや、もう無理といえば代わりに食べてくれるので彼氏は優しい部類なのかもしれないが。彼氏は鉄の胃袋を持っているようだ。
一日中大好きなラーメンを食せるとあってニコニコだ。
彼氏が笑顔なのはこちらとしてもうれしいもの。
だがそれでもこんな1日デートは嫌だ。
「おなかいっぱいだよ。もうよくない?」
「そうだね。男に媚びを売るとこうなるから次からはきをつけるんだよ」
「わかったわよ。あなたが女性に媚び売っているときは
今度はスタバ1日制覇だからね」
「残念ながら僕の会社は今のところ男性しかいないんだ。まぁそんなことがあればスタバデートでもいいよ」
圧倒的にこちらの分が悪い。
「わかったわよ。約束だからね」
こんな彼氏の嫉妬のおかげで今後仕事以外にやることが山積みだ。
まずはメガネの度数を引き上げてもらって誤解のないようにしないといけない。
(今月は出費の多い月になりそうね)
ため息をつかないとやっていられないくらいだ。
それでも彼が好きだというのでこれくらいは許容しないといけないがつらいところだ。
END
嫉妬深いかれ 完 朝香るか @kouhi-sairin
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
カクヨムを、もっと楽しもう
カクヨムにユーザー登録すると、この小説を他の読者へ★やレビューでおすすめできます。気になる小説や作者の更新チェックに便利なフォロー機能もお試しください。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
この小説のタグ
関連小説
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます