ギャグなのか深いヒューマンドラマなのか分からない、脳が混乱するお話

主人公エルサーシアを端的に表すならば、変態サイコパス美少女。
彼女は一風変わった転生の仕方をした、元日本人男性です。TS!
元男性だからなのか、それとも元の人格が変わっていたのかは謎ですが、とにかく感性が独特でぶっ飛んでいます。

メタ発言や下品な発言が目立ち、言動も普通ではありません。
とんでもないギャグ作品、とんでもない昭和パロディー作品で、全編を通して謎の疾走感があります。

しかし、表面のおふざけに惑わされてはなりません。
登場人物の繊細な心理描写、権力に溺れて裏で暗躍する悪役の語りなど、妙な人間臭さとリアリティがあって引き込まれます。

ふざけている中でいきなり放り込まれる心理戦、人間模様は、山頂から深い谷底へ突き落されるほど強烈なギャップを生み出します。

ギャグの場面では「これ、真面目に読んでいて良いのか?」と首を傾げたくなるかも知れません。
でもシリアスな場面では逆に、「これ、ふざけて読んでいて良いのか?」と自問したくなるのです(笑)

恐らく作者のおじむ様が、かなり人の深層心理にお詳しいのではないでしょうか。
噛めば噛むほど味が出るような、スルメのような作品です。

続編というか番外編も連載中ですし、おじむ様との応援コメントのやりとりを含めてオススメですよ。

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