見た目は美少女、頭脳は昭和~平成初期おじさん、その名はエルサーシア。
これはクセになる組み合わせなのです!
そして物語は目まぐるしく、さまざまな景色を見せてくれます。
できたらいいなをほとんど叶えてくれるきわどい衣装の精霊と共に貴族生活を堪能。
しかし華麗なだけではなく、渦巻く陰謀あり、悲恋あり、バトルあり、旬の食材あり、ヘンなアイテムあり。
時に珠玉のように美しいエピソードがきらりと光ります。
そして何より、美少女主人公のおじさん的ギャグやちょいゲスソングに翻弄されるのが楽しいお話ですよー。
さあ、あなたもレッツ・エルサーシアの遺言ワールドへいらっしゃいませー!
主人公のエルサーシアは元現代人男性であり、転生先の世界で十歳の貴族美少女としてメインストーリーが始まる。果たして彼女(彼?)の波乱万丈の人生はいかなるものであったのか。
まず本作の特筆すべきところは、とにかく主人公のサーシアがぶっ飛んだ性格なことであり、読者は彼女へのツッコミで大忙しとなること請け合いです。なにぶん味方サイドの登場キャラが大概どこかオカシイので、ツッコミ役がほぼいません……そう、読者のあなただけが頼りです。
そうしてお気楽なギャグばかりかと思いきや……王宮の裏で犇めく貴族たちの権謀術数の数々が巧みに描かれており、彼女もそれに巻き込まれそうになったりします。とはいえ、サーシアを中心とした圧倒的変態力の前には水泡に帰すことになり、それがまた爽快に感じられることでしょう。
他にも、随所に現れる(オッサンホイホイな)メタ的発現がとても良い味を出しており、特に昭和~平成初期にお生まれの方は、ニヤッとするネタが沢山見られるかと思います。
皆様にも是非、この一癖も二癖もあるサーシア達と共に異世界を謳歌していただきたいです。
主人公エルサーシアを端的に表すならば、変態サイコパス美少女。
彼女は一風変わった転生の仕方をした、元日本人男性です。TS!
元男性だからなのか、それとも元の人格が変わっていたのかは謎ですが、とにかく感性が独特でぶっ飛んでいます。
メタ発言や下品な発言が目立ち、言動も普通ではありません。
とんでもないギャグ作品、とんでもない昭和パロディー作品で、全編を通して謎の疾走感があります。
しかし、表面のおふざけに惑わされてはなりません。
登場人物の繊細な心理描写、権力に溺れて裏で暗躍する悪役の語りなど、妙な人間臭さとリアリティがあって引き込まれます。
ふざけている中でいきなり放り込まれる心理戦、人間模様は、山頂から深い谷底へ突き落されるほど強烈なギャップを生み出します。
ギャグの場面では「これ、真面目に読んでいて良いのか?」と首を傾げたくなるかも知れません。
でもシリアスな場面では逆に、「これ、ふざけて読んでいて良いのか?」と自問したくなるのです(笑)
恐らく作者のおじむ様が、かなり人の深層心理にお詳しいのではないでしょうか。
噛めば噛むほど味が出るような、スルメのような作品です。
続編というか番外編も連載中ですし、おじむ様との応援コメントのやりとりを含めてオススメですよ。