第4話 運動会の準備

 ゴールデンウィークが終わると、毎年恒例、運動会の応援合戦練習が始まる。

 毎年、保育園と小学校、そして地域ぐるみの合同運動会というのが恒例だ。

 紅白の組分けは、保育園、小学校も含めて行われる。


 勝敗は、保育園の部、小学校の部、中学校の部、PTAの部、地域の部ごとに点数が決められ、総得点で決まる。

 

 応援合戦は、中学生が主となって小学生に朝と昼休みに教えることとなる。

 ちなみに応援歌は、その年に流行った歌を替え歌にして振り付けも考えて行うのだ。

 とはいえ、お客さんや審査員はいろんな世代の人が集まるため、世代を超えて分かる歌を考えなければならない。

 これを四月末までには完成させなければならなかった。


 さらに大変なのが、小学生たちに応援歌を教えることだ。

 低学年は特に落ち着きがなく、チームをまとめるのは一苦労。

 それでも毎年乗り越えてきたこと。

 初めは大変だが、時間が経つにつれて慣れてきて、チームに一体感ができる。

 

 運動会の準備はこれだけではない。

 応援歌に使うポンポンなどの小道具作り、入場門に掲げる運動会のスローガン作り、種目の練習、各組のパネル絵の作成。

 やることは山ほどある。


 授業の一環でも準備をし、放課後もフル稼働で進めた。

 大変過ぎて息をつく暇もないが、誰もが最後の運動会の成功を願っていた。

 思い入れは過去イチだろう。

 

 運動会の三日前には総練習がある。

 この日は保育園、小学校のみんなも一緒だ。

 中学生は100メートル走、チャンスレースという俗に言う障害物レース、小学生から中学生までバトンを繋ぐリレー、伝統芸能の太鼓演奏の四種目出場する。


 小学生はさらに、親子レース、リズム体操にも出なければならない。

 中学生は種目が少ない分、裏方の仕事がとても多い。

 小学五年生から、様々な係の仕事をするのだが、これをまとめるのも中学生の役割だ。

 係は大まかにスターター、放送、道具準備に分けられる。手順を覚えるのも大変だから、この総練習はとても大切な時間なのだ。

 

 ちなみに、各組の陣地と客席&本部はグランドを挟んで真逆の位置にある。

 係の仕事で本部へ向かうには、わざわざトラックの外側を走っていかなければならない。

 それは、小学校の頃からグランドの中央を通るなと口酸っぱく言われていたからだ。

 理由ははっきり分からないが、お客さんと来賓に大きく目立つ行動をとるなということなのだろうと勝手に思っている。


 全種目に出て、係の仕事のため大きいグランドを大回りしていくのは、なかなか疲れる。

 ほぼずっと走っているような状態だ。

 疲れるけど、地域一丸となって運動会をすることは、とても楽しいものだった。

 

 そして、約一ヶ月の準備期間を終え、いよいよ明日が運動会。


「なっつ、最後の運動会ぐらい、雨女パワーは封印してよね!」


 幼馴染の千秋は、私の雨女伝説をよく知っている。

 だからこそ、案じているのだ。


「そんなのオレのせいじゃねーし! 天気のせいだし!」


 感情的になると、私は自分のことを『オレ』と言ってしまう。

 ほんと、最後ぐらいは晴れてほしいものだ。

 白組は、私ときらり、淳の三人。

 紅組は、千秋とふー、靖郎、明日香の四人。

 運動会に備えて、いつもより少し早めに布団に入って寝たが、ワクワクする気持ちが勝り、ゴロゴロしているうちに気づいたら寝ていて朝を迎えた。

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