第29話 コイビト ①

 私が彼と出会ったのは、四才になるかならないかぐらいの頃でした。


 父に連れられて大きなおうちにやってきた私は、そこで女の子のような顔をした同じ歳の頃の彼と出会ったのです。


 彼は父の新しい職場の上司に当たる人の一人息子で、私の家庭環境の都合上幼い頃は頻繁に隣家である彼の家に預けられていました。


 ですが、その当時の私は彼を余り快くは思っていませんでした。


 何故なら私が勇気を出して恐る恐る話しかけても、彼はいつも曖昧に笑うばかりな挙句、すぐに部屋の隅に行き独り絵本を読んでしまうような子供だったからです。


 とは言え、数年も経つ頃には流石にそんな事は無く、まるで兄妹だと言われる程にはお互い仲良くなっていったのですが・・・


 最初は私とどう接していいのかがわからず困ったが為の行動だったと知ったのは、小学生になる前ぐらいの話です。



 ちなみに、そんな私と彼が出会ったのは偶然などではなく、必然だったと言えるのでしょう。


 私は連合から連邦へ亡命した父に付いてきたのですが、幼い頃の私は随分と遠い所へ行く引っ越しぐらいにしか思っては居ませんでした。


 しかし実際には、情勢の変化が起こり始めた為に母が私と父を逃してくれたのだそうで、父は母から託された手紙を元に、母の知り合いだった彼の祖父や彼の母親を頼ったのだそうです。


 私は幼すぎた事もあり、生まれた国や母の事をあまり覚えてはいません。


 ですが、母は何時も私を気にかけていてくれたようで、私の為にこの国へ逃してくれたのだと、十歳になった頃に父は私へ話しました。


 そんな父が亡くなったのは、私が中学生になる前の出来事だったのですが・・・今でも時々、あの頃の事を思い出します。


 ・・・父は、国境付近の町に視察へ行ったっきり、帰ってくる事がありませんでした。


 話では、戦争を継続する事を望む勢力の破壊行為に巻き込まれて亡くなったのだそうで、遺体どころか・・・当時の父の所持品すらも、還ってきてはくれませんでした。


 そして、然程間を置かずに追い討ちをかけるかの如く、私は別の地区にある施設へ移るように通達を受けます。


 どうやら保護者の居なくなった私は、この街に居続ける事が出来なくなったようなのです。


 父の死と、住み慣れた街からの強制退去に近い扱いを受けた事で、当時の私は泣き続ける事しか出来ませんでしたが、そんな私に手を差し伸べて立ち直らせてくれたのは、他ならぬ彼と彼の家族でした。


 今でもはっきりと覚えています。


 父を失い泣き続ける私を、彼は優しく抱きしめながら〝泣き止むまでは僕が側に居るから〟と言い、その言葉の通り彼はただひたすらに私の側に居続けました。


 何を語るでも無く、ただただ泣いている私の頭を無言で優しく撫で続け、本当に私が泣くのをやめるまで何時間も側に居てくれたのです。


 そうして私がひとしきり泣いた後、彼に連れられ彼の家で夕飯をご馳走になっていると、彼の両親からもう何も心配は要らないのだと教えられました。


 後で聞いた話によれば、どうやら彼の祖父が後見人のような立場になってくれたおかげで、私はこの租界に残る事を許可されたらしいのです。


 この地区は、数ある居留地の中でも特に政治に携わる人々かつ、明かされてはいませんが特定の条件を満たす人間しか住めないそうなので、今から思えば天涯孤独となってしまった私は追い出されてしまっても仕方が無かったのですが、どういう訳か住む家もそのままに残る事が出来たのです。


 ・・・いえ、家については私のワガママで、本当は彼の両親からも一緒に暮らす事を提案されたものの、私が断ったのです。


 実は、その頃には既に私は彼の事が好きになってしまっており、一緒に暮らしてしまうと本当の兄妹になってしまいそうで嫌だった、というのが理由の一つだったりします。


 まだまだ幼かったからとはいえ、恐らくこの判断は間違ってはいなかっただろうと、今では思っています。




「そういう事情だったんだ・・・なんか、軽々しく聞いちゃってごめん。あたし、サキの事情あんま知らなかったからさ・・・」


 そう言うと、ここ数ヶ月で友達になったばかりの彼女・・・マコトは、申し訳なさそうに話を終えた私へ頭を下げました。


「誰にでも話すような事でも無いしねー・・・それに、もう何年も経ってる事だから、気にしないでよ。」


 帰宅した際に誰も居ない事で、孤独感や不安感を感じる時は確かにありますが、そんな時は用もないのに隣家へ行き、彼の部屋で二人で漫画を読んだりアニメを観たりするので、決して独りという訳ではありません。


 少ないながらも、こうして私を訪ねてきてくれる友達もいますからね。


「サキもあたしと同じで亡命してきたって事だけは知ってたんだけど、いつ遊びに来ても家にサキ一人だったから、気になっちゃってさ・・・」


 この居留地では、此処十年程で亡命してきた人が増加した為か最近では余りありませんが、私が此処に来た頃は訳も分からずに後ろ指を指されたりもしたものです。


 ・・・いえ、昔よりは減りはしましたが、私を見て眉を顰める隣人が今でも少数ながら居ますので、未だ隣国からの亡命者への偏見は根強いのでしょう。


 私達が生まれるより少し前ぐらいまでは、頻繁に小競り合いしていたらしいので仕方がないと言えば仕方ないのでしょうが、現在は長く小康状態が続いているとはいえ戦争そのものは継続している所為か、差別が無くならないのだと思います。


 その為、もしかしたら彼女も此処に来る前に一時的に居たという居留地では、白い目で見られていたのかもしれません。


「私が彼やサキさんと出会ったのは、小学生になってからですので事情を知ってはいましたけれど、私が勝手に話す訳にはいきませんから・・・」


 そんな私とマコトの話を聞き、一緒に訪れていたもう一人の幼馴染であるミキが、沈痛な面持ちで口を開きました。


 この子はこの国の生まれなのに私を親友だと公言した為か、幼い頃は同級生の輪の中に入る事も出来なくなり、かなり辛い目に合わせてしまった事もあったのですが、それなのにずっと変わらずに接してくれる、私にとって大切な友達です。


「・・・にしても、アイツのお爺さんってそういう特例を認めさせるだけの力があるんだ?何者なの?」


 実際は特例では無く、既にある制度を利用したようで特別な事は何もしていないとは叔父さんから聞いていますが、〝話を盛った方が権力者っぽくてカッコいいから、誰かに話すなら勘違いさせるように言うんだよ?〟とは、おじいちゃん本人の弁だったりもします。


「マコトさん、知らないんですか?」


「何を?」


「彼のお祖父様なら、今でも時々メディアにご出演なされていますよ?」


 ミキもおじいちゃんがどういう人なのかを理解しているからか、クスクスと笑いながらマコトへそう告げました。


「・・・え?有名人なの?」


「有名人も何も、このビオトープを作った立役者だよ・・・?」


「立役者って、もしかして・・・この人?この人なら、この国の事情に疎いあたしでも、何度かテレビとかネットで見た事あるよ?」

 

 私達の言葉でマコトは該当する人物に思い至ったらしく、自らの端末を素早く弄ると画面を私達へ見せます。


「そうそう。おじいちゃんって何故か苗字が違うから、それで気付かなかったのかな?」


 私も余り詳しくはありませんが、確か随分昔に化石燃料に頼らないエネルギーを利用したシステムを作ったと聞いた事があります。


 この街が砂漠の真ん中にあるのも、その運用に必要だからなのだそうですが・・・それはそれとして、どうしておじいちゃんの苗字だけが違うのでしょう?


 何か事情があるのかな?


「はー・・・アイツ・・・本当のお坊ちゃんだったんだ・・・育ちが良いとは思ってたけど・・・」


「うん。叔父さんが今は後を継いでるけどね。」


「あー・・・アイツのお父さんだけは知ってるよ。こっちに来たばっかりの時、上司になるとかであたしも両親と一緒に挨拶したし・・・」


「ちなみに、おじいちゃんは十年ぐらい前まで政治家とかもやってたんだって。私は何をしてたのか詳しくは知らないけど、引退した今でも色んな所に引っ張りだこだよ。」


「うちの学園の理事も、その頃までは務められていたようですね。」


「へぇー・・・あ、理事と言えば、学祭で理事長がアイツの姿を見て爆笑してたけど、もしかして・・・」


「私はその場面見てないけど、理事長なら間違いなくナツキさんだよ。」


「ナツキさん?」


「うん。彼のお母さん。」


「やっぱり・・・苗字が一緒だし、顔がよく似てたからそうじゃないかなーとは思ってたんだけどさ?・・・で、アンタはなんで理事長を名前で呼んでんの?」


「んー・・・小さい頃におばちゃんって呼んだら、凄く嫌そうな顔でお姉ちゃんかナツキさんと呼びなさいって言われたから?」


 小学生の頃ぐらいから、息子の嫁だしお母さんでもいいわよ・・・って言われてたのは、内緒です。


「ナツキさん、お若いですからね。息子が手のかからない子供だからと、お祖父様の跡を継ぐと仰られて学園の理事になられたそうで、元々はご夫婦で研究者だったともお聞きしました。」


「ミキも、ナツキさんって呼んでるんだ?」


「えぇ、私も両親がお世話になっておりますので、幼い頃より面識が御座いまして。」


「なるほど・・・アンタも幼馴染ってヤツだもんね。」


「そうですね。でも、私自身はサキさん程にはお世話になっておりませんよ?」


 ミキはそう言うと、含みのある笑顔を浮かべながら私へ視線を向けました。


「な、なによ?ミキ、何が言いたいの?」


 彼女が何を言わんとしているか薄々は分かっていますが、此処は気付いていないフリをした方が無難でしょう。


「あぁ、あたしも、あの話を聞いた時はどうかと思ったよ・・・」


「あ、あの話?」


 ・・・えっ?あれっ?


 私、マコトには言ってない筈だけどこの口ぶりだと・・・


「家が隣なのをいい事に、毎日アイツに起こして貰ってるって話。」


「えー・・・?流石に毎日じゃないよ?」


 やっぱり!何で知ってるの!?


 多分ミキが教えたんだろうけれど・・・どうして余計な事は言っちゃうかなぁ。


「アイツも、よくもまぁ呆れもせずに甲斐甲斐しく幼馴染をやってるよなー・・・」


「だーかーらー!毎日じゃ無いってば!」


 それに、代わりに時々ご飯作りに行ってるもん!


「毎日じゃないだけで、起こされてるのは事実でしょ?」


「サキさんはお寝坊さんですから。」


 最近も寝坊をしてミキ達にまで迷惑をかけたばかりだからか、二人の視線がとても痛い・・・!

 

「そ、そんな事より!・・・本題っ!本題に入ろうよっ!ねっ!?」


 此処は、話を逸らす為にも今日来てもらった目的の話題にもっていくしかない!


「本題ぃ?・・・なんだっけ?」


「昔話をする為に、今日はサキさんのお家に集まったのでは?」


「違うでしょ!アイツの誕生日プレゼントの相談をする為でしょ!」


 結構な長話をした所為か、二人とも今日来てもらった理由を忘れちゃったのかな?


「えー・・・今更ー?アンタの彼氏の誕生日プレゼントなんて、テキトーにアニメの人形かプラモでもあげとけば喜ぶんじゃないの?」


「彼なら何を渡しても喜ぶと思いますよ。」


 ・・・どうやら、この様子だと二人とも忘れたフリをしてたみたいね。


「ねぇ・・・二人共?私、真面目に考えてるんだけど!?」


 そんな二人に少し苛々してしまった私は、ついつい良く無い言い方だとは思いつつも少々語尾が荒くなってしまいます。


「だってさぁ?何が悲しくて、友達とはいえ他人の彼氏への誕生日プレゼントを考えなくちゃいけないワケ?しかもあたしたち、この間もアンタらの痴話喧嘩に巻き込まれたばっかなんだよ?」


「うっ・・・それは・・・」


 それを言われてしまうと、流石にこれ以上返す言葉もないわ・・・


「そうですねぇ・・・学園祭の時は私の所為だという事にして、ついサキさんを庇ってしまいましたけれど、流石に今回は私としても痴話喧嘩に巻き込まれた、という認識ですよ?」


 ミキまで!?


「その節は、本当にご迷惑をお掛け致しましたっ!」


 とはいえ、私が悪いのは間違いないので、此処は大人しく謝ろう・・・


 ・・・でも、仕方ないじゃない!


 アイツがマコトと仲良くしてたから、なんかイライラしちゃってて・・・それで、つい声をかけられたから一緒に学祭巡るだけならいいかなーって・・・


 あんなに怒るだなんて、私だって思わなかったんだもん!


 それで、普段は私の事をそんな風に見てなかったクセに!って思ったら、すっごく頭に来ちゃって・・・怒ったら、余計拗れちゃって・・・


 今回は今回で、私が寝坊した所為なんだけどさぁ・・・


「でもさー?付き合いの浅いあたしから見ても、こっちが恥ずかしくなるぐらい明らかに相思相愛なのに、学祭の時のヤツは付き合ってないって知ったらチャンスあるかなー程度に考えて、サキに近づいたんだろうかねー?・・・その気持ち自体は、分からなくはないけど・・・ねぇ?」


「どうでしょう?クラスの違う方でしたから私は存じあげませんでしたが、なんでも噂では所謂女の敵だったそうですよ?もしかしたら、彼が怒ったのはその噂をご存知だったからなのかもしれません。」


「へー・・・そうなんだー・・・」


 少女漫画でなら横恋慕をする登場人物は珍しくは無いと思いますが、現実にそういう行動を取る人間が早々居るとは思えなかった私は、暢気に呟いてしまいました。


「そうなんだぁ・・・って、幾ら何でもアンタ危機感無さすぎじゃない?」


 すると、マコトは酷く驚いた様子でそんな私へ視線を向けます。


「いやー・・・今までそんな経験無かったからさぁ・・・」


 私としてはクラスの中でもかわいい方という訳では無い為か、同年代の男の子から声を掛けられた事自体が初めてだったので、珍しい程度にしか思っていなかったというのが一番だったりもしますが、それが彼女には危機意識が薄いように思えたのでしょう。


 とはいえ、この区画じゃ素行の悪い人物自体が殆どいないから、私の反応も仕方がないと思うけどなぁ。


「まぁ・・・アイツが常に側に居るから、サキに近寄りがたいのは分からなくは無いかな・・・」


「大半の方は多かれ少なかれ彼のご両親か、若しくはお祖父様をご存知ですので、周りにいる大人も含めて幼い頃から遠巻きに見られておりましたから・・・」


 確かに、人当たりは悪くないどころか誰に対しても物腰が柔らかいのに、何でか殆どの人は遠慮しちゃって余り話しかけてこないみたい。


 成績優秀で優等生過ぎるのもその原因だろうけど、私達以外には特別仲がいいと呼べる友達も居ないのに、頼られると面倒事は率先して引き受けちゃうぐらいお人好しなのは、昔からちょっとどうかとは思う・・・


「その割には、スレてないよね?やっぱ、性格なのかな?」


 ・・・とはいえ、おかげでこうして二人と友達になれたんだけどね。


「えぇ、恐らくは。彼の場合周りと一線を引いてはいますが、基本的に昔から凄く優しいですからね・・・出会って間もない頃に私が困っていたら、一緒になって真剣に悩んでくれたりもしましたよ?」


「アイツらしいねー!」


「マコトさんがクラスに馴染めたのも、彼がマコトさんを思って行動したからですよね?」


「きっとそうじゃないかな?他の子に聞いたんだけど、文化祭であたしが実行委員になるように手を回したらしいよ。」


「マコトさんはサキさんと似た立場でしたから、放ってはおけなかったんでしょうね。」


「多分ね。サキの話を聞いてやっと納得出来たんだけど、あたしと皆が積極的に関わる機会を作ろうとしたんじゃないかな?・・・あの時は面倒事に巻き込まれたって思ったから、嫌がらせ半分に男女逆転のメイド&執事喫茶を提案してやったんだけどさ?」


 彼がマコトをどうして気にかけていたのかは、ミキも言っているように今ならば何となく判りはするものの、あの時の私はただただそんな彼に苛立ちを募らせていました。


 おかげで、お互いがお互いをどう思っているのかを知る事が出来もしましたが・・・彼には悪いけど、あのメイド姿は面白かったな。


「ねぇ私、沢山話して喉渇いちゃったから飲み物淹れてくるけど、二人もあったかい紅茶でいい?」


「私も手伝いますよ。」


「あ!あたしも!」


「いいよ、二人は座ってて。」


「そうですか?・・・では、お言葉に甘えさせて頂きますね。」


「ありがとー!・・・んで、それでさー・・・」


 飲み物を取りに行くために立ち上がり居間から台所へ向かうと、マコト達は二人で話を続けているようで、お湯を沸かしている間にも時折笑い声が漏れてきます。


 どうやら、学園祭の話の続きで盛り上がっているらしく、私が飲み物を淹れて戻ってきても中々私の相談に乗ってはくれません。


「・・・確かにそうですね。一見すると、運動をなさっているようにも見えますし。」


「だから余計に面白かったんだけどね?体格のいいメイドが居るとかで話題になってたもん・・・って、サキ?どうしたの?さっきからずっと黙ってるけど。」


 二人共、私が相談してた事をすっかり忘れてるでしょ?


「あらあらサキさん、頬を膨らませてやきもちですか?大丈夫ですよ、取ったりなんてしませんから。」


「サキにベタ惚れだから大丈夫だよ。」


「そうじゃなくて!誕生日プレゼントの相談してたでしょ!」


 私がそう言うとやっと思い出したらしく、二人とも私に謝ると相談に乗ってくれる気になったようです。


「でもさ、本当にアイツの好きなアニメの人形とかじゃダメなの?その方が喜びそうなんだけど?」


「それは今までにも何回かあげてるのよ・・・やっと恋人になれたんだから、同じはヤなの。」


「いや、アンタら付き合う前と大して変わってないじゃん・・・」


「でしたら、裸のサキさんにリボンを付けて彼の部屋で待つ・・・とか?」


 そんな案が浮かぶとか、大人しい顔してミキも大概ね・・・


 私の影響の可能性もあるけど、とはいえこれって・・・私で遊んでる?


「プレゼントは、わ・た・し・・・ってやつ?そんなの、漫画以外で本当にやる奴いるのかね?あたしはどれだけ好きでも、そこまでは無理だわー・・・」


「アンタ達・・・ぜんっぜん真面目に考えてないでしょ!?」


「当然!」


「えぇ、マコトさんの仰る通りですよ?それに、私達がどうこうよりも、サキさんご自身が何を贈りたいのかが一番大事なのですし。」


 即答されちゃった。


 確かにミキの言う通りなんだけど・・・一体、どうしたらいいんだろう?


「んー・・・じゃあさ?サキは明日、ヒマ?」


「うん、明日は特に予定無いよ。・・・それがどうかしたの?」


 彼も明日はおじいちゃんと釣りに行くらしいので、私は私で溜まってた家事を片付けてから深夜アニメの録画でも見ようかな、と思っていたぐらいだけど・・・


「なら、休みだしモールにでも行ってみない?何かいい物が見つかるかもよ?暇だからあたしも付き合うし。」


「それがいいかもしれませんね。私も明日は用事がありませんので、お付き合いしますよ。」


 確かに、実際に下見をしながらの方が決めやすいかも?


 二人も付き合ってくれるって言ってるし、そうしようかな?


「なら、お願いしていい?モールまではちょっと遠いから、明日の朝九時ぐらいに駅に集合にしよっか。」


「あたしはそれで大丈夫だよ。ミキはどう?」


「私も大丈夫ですよ。でも、朝・・・となりますと、私達よりもサキさんの方が心配ですね?」


「ちゃんと起きれるよ!?・・・多分。」


 そうやって明日の約束をして、二人を見送ってから夕飯の支度をしに隣へ行き、おじいちゃんと彼と三人でご飯を食べてから翌日は朝から出掛ける旨を伝え、私は自宅へと戻りました。


 勿論、プレゼント選びだという事は彼には内緒です。


 ・・・明日は何か、いい物が見つかるといいなぁ。





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